エンターテインメント・ウェブマガジン
三浦さんと対談させていただいた時に、時代がどんどん変化していき、そのスピードにみんな追いついていないのに情報だけを詰め込んでいるというお話をされていました。何が分岐点で何が転機なのかも分からなくなり、ジャーナリズムと一般人の誹謗中傷との境界線、はざまがどんどんなくなってきたと。確かに、情報が多すぎて、本当に知りたい情報も分からなくなってきている気がします。僕もSNSで情報を取り入れた方が手軽だから新聞ではなく、SNSを見てしまうんですが、どこまでが本当か分からないと思う時もあります。今、便利な時代だからこそ自分の目で見て、自分が体感したことを信じて、惑わされない自分を持っていかないといけないと思います。今は、まさに時代の転機だと思います。とにかく自分の目で見て、自分で体感して、信じる勇気や信じる努力をしなくてはいけない。皆さん、そうした時代のはざまになっていますよ、と警鐘を鳴らされているような気がします。
まずは差し入れですね。おいしい差し入れをして、皆さんの胃袋やメンタルを癒やしたいと思っています。座長なりの高級なものを差し入れたいです。お肉や有名なお菓子だったり、滋養強壮に効く栄養ドリンクだったりを今は思い浮かべています。なぜ、僕がそうした差し入れのことばかり言っているかというと、舞台は座長が頑張れば成立するものではなく、みんなで作るものだからです。助け合って、みんなで作ろうと。僕は一座を背負って何かをすると空回ってしまうタイプなんですよ。グループでもリーダーを1回、やったことがあったのですが、その時に痛い目を見ているので、2度とそんなことはしないと思っておりまして(笑)。とにかく、自分の役に向き合って、役を構築していく姿をみんなと共有し、「こいつだったら任せられるな」ってちょっとでも思ってもらえたらいいかなと思います。現場で座長らしいことはできないと思うので、まずは、差し入れでみんなの心をゲットしたいと思います(笑)。
以前に似たようなことをWebで書いたこともありますが、感情や思い出というのは、10割のうち7、8割が苦しいもので、残りの2、3割がいいことというバランスになっているのではないかなと思います。嫌なことがバンっときたら、ほかの嫌なことを1つ、2つ忘れる。つまり、人間の容量は決まっていて、何かを入れるためには入れるための空間が必要だったりするのかなと。そう考えると、何かを赦せない人が赦せるようになったとき、または謝ることができたとき、赦す側も赦される側もそこに埋まっていたものがふっと消える。そうしてできたスペースに良いことなのか、赦せたという自分に対する誇りなのか、そういうものが入る。一歩を踏み出すための赦しはすごく大きなものだと思うので、人が成長する1つの方法だったりもするのかなと思います。
今まで得てきたものは「場数」です。そして、今後得たいものも「場数」です。僕はまだ演劇人としては場数が全く足りないんですよ。恵まれていることに、これまで主演しかやらせてもらっていないのですが、それはある意味では不幸でもあって。主演としてできることもありますが、二番手、三番手だからこそ見られる景色もある。そういう意味でも、場数が欲しいです。それから、毎回、演目が変わればゼロからのスタートです。この間、これがうまくいったから今回もうまくいくなんて甘いもんじゃない。会社や部署が変わるというくらい違うものなので、とにかく場数と経験が必要だと思います。今回の作品でも30何公演も場数がいただけますので、自分の全てを引き出して、何ができて何ができないのかをもう一回確認し、自分の経験を拡張していきたいと思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
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Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」
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