丸山隆平、赦すことは「人が成長する1つの方法」 三浦大輔の新作で“ろくでなし”の芸能記者役に【インタビュー】

2024年3月16日 / 08:00

-今作のタイトルの「ハザカイキ」は、物事の入れ替わりの時期を意味しています。そうしたタイトルにはどんなイメージを持っていますか。

 三浦さんと対談させていただいた時に、時代がどんどん変化していき、そのスピードにみんな追いついていないのに情報だけを詰め込んでいるというお話をされていました。何が分岐点で何が転機なのかも分からなくなり、ジャーナリズムと一般人の誹謗中傷との境界線、はざまがどんどんなくなってきたと。確かに、情報が多すぎて、本当に知りたい情報も分からなくなってきている気がします。僕もSNSで情報を取り入れた方が手軽だから新聞ではなく、SNSを見てしまうんですが、どこまでが本当か分からないと思う時もあります。今、便利な時代だからこそ自分の目で見て、自分が体感したことを信じて、惑わされない自分を持っていかないといけないと思います。今は、まさに時代の転機だと思います。とにかく自分の目で見て、自分で体感して、信じる勇気や信じる努力をしなくてはいけない。皆さん、そうした時代のはざまになっていますよ、と警鐘を鳴らされているような気がします。

-今回は、このカンパニーの座長となります。座長としての意気込みも聞かせてください。

 まずは差し入れですね。おいしい差し入れをして、皆さんの胃袋やメンタルを癒やしたいと思っています。座長なりの高級なものを差し入れたいです。お肉や有名なお菓子だったり、滋養強壮に効く栄養ドリンクだったりを今は思い浮かべています。なぜ、僕がそうした差し入れのことばかり言っているかというと、舞台は座長が頑張れば成立するものではなく、みんなで作るものだからです。助け合って、みんなで作ろうと。僕は一座を背負って何かをすると空回ってしまうタイプなんですよ。グループでもリーダーを1回、やったことがあったのですが、その時に痛い目を見ているので、2度とそんなことはしないと思っておりまして(笑)。とにかく、自分の役に向き合って、役を構築していく姿をみんなと共有し、「こいつだったら任せられるな」ってちょっとでも思ってもらえたらいいかなと思います。現場で座長らしいことはできないと思うので、まずは、差し入れでみんなの心をゲットしたいと思います(笑)。

-三浦さんがこの作品についてオフィシャルコメントで「人が人に謝り、人が人を赦(ゆる)すことに関しての物語」と書いていましたが、丸山さんは「人を赦すこと」をどのようにとらえていますか。

 以前に似たようなことをWebで書いたこともありますが、感情や思い出というのは、10割のうち7、8割が苦しいもので、残りの2、3割がいいことというバランスになっているのではないかなと思います。嫌なことがバンっときたら、ほかの嫌なことを1つ、2つ忘れる。つまり、人間の容量は決まっていて、何かを入れるためには入れるための空間が必要だったりするのかなと。そう考えると、何かを赦せない人が赦せるようになったとき、または謝ることができたとき、赦す側も赦される側もそこに埋まっていたものがふっと消える。そうしてできたスペースに良いことなのか、赦せたという自分に対する誇りなのか、そういうものが入る。一歩を踏み出すための赦しはすごく大きなものだと思うので、人が成長する1つの方法だったりもするのかなと思います。

-グループ活動や映像作品だけでなく、舞台でも存在感を発揮している丸山さんですが、舞台俳優として、これまでの経験で得たものと、これからもっと得たいと考えているものを教えてください。

 今まで得てきたものは「場数」です。そして、今後得たいものも「場数」です。僕はまだ演劇人としては場数が全く足りないんですよ。恵まれていることに、これまで主演しかやらせてもらっていないのですが、それはある意味では不幸でもあって。主演としてできることもありますが、二番手、三番手だからこそ見られる景色もある。そういう意味でも、場数が欲しいです。それから、毎回、演目が変わればゼロからのスタートです。この間、これがうまくいったから今回もうまくいくなんて甘いもんじゃない。会社や部署が変わるというくらい違うものなので、とにかく場数と経験が必要だと思います。今回の作品でも30何公演も場数がいただけますので、自分の全てを引き出して、何ができて何ができないのかをもう一回確認し、自分の経験を拡張していきたいと思っています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」は、3月31日~4月22日に都内・THEATER MILANO-Za、4月27日~5月6日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。

 

Bunkamura Production 2024「ハザカイキ」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top