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峰屋も、牧野富太郎さんの史実通り、店を畳むことになり、綾と竹雄がその悲しみを乗り越えていくドラマが描かれます。万太郎と寿恵子、綾と竹雄、二組の夫婦のどん底が重なり、「らんまん」の中では一番しんどいところになりますが、その後、再生の物語に向かっていくことになります。
モデルの富太郎さんと万太郎くんのキャラクターの違いは、当初から意識しながら人物造形してきました。その中で、われわれの万太郎くんは、周りの迷惑をかえりみず莫大な借金をするような人ではないと考えています。もちろん、どうしてもというときには借金をすることになりますが、その借金を寿恵子さんが返すという描き方は、下手をすると妻が夫の犠牲になる印象を与えかねません。お金を工面するため、富太郎さんの妻・壽衛さんが色々と知恵を絞ったのは事実ですが、われわれの寿恵子さんは「借金を返す」というより、一緒に夢をかなえるために「投資をする」という感じで、前向きな描き方をしていくつもりです。
田邊教授には実在のモデルがいます。牧野富太郎さんの伝記などでは、最初はかわいがっていたのに、あるとき突然、クビにされた権威主義の教授、みたいな感じで悪役扱いされていますが、実際は違うらしいんです。人によっては、富太郎さんがやりたい放題で、むしろ教授の方がまともだった、と証言する方もいるくらいで。人間は一色ではなく、いろんな面があります。われわれも田邊さんのキャラクターは大事にしているので、今後、彼には彼なりの事情があったことも描かれ、汚名返上の機会も用意されています。ただの悪役では終わらない、奥深い人間模様が展開していくので、ぜひ期待してください。