甲斐翔真「手応えしかない」 「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」で誰も見たことがない空間を作り上げる【インタビュー】

2023年7月4日 / 17:00

 バズ・ラーマン監督による名作映画をミュージカル化し、トニー賞で最優秀作品賞をはじめとした10部門を受賞した「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」が開幕した。ゴージャスの限りを尽くし、世界中で大ヒットした約70曲をマッシュ・アップして作られた本作は、1899年のパリを舞台に、ムーラン・ルージュのスター、サティーンとアメリカ人作曲家クリスチャンとの激しい恋を描く。クリスチャンを井上芳雄とともにダブルキャストで演じる甲斐翔真に開幕直前にインタビュー。役作りについてや本作の見どころを聞いた。

甲斐翔真 (ヘアメーク:菅野綾香/スタイリスト:岡本健太郎) (C)エンタメOVO

-(取材当時)稽古も大詰めだと思います。手応えは感じていますか。

 手応えしかないです(笑)。先日、帝国劇場の舞台セットを初めて見たキャストたちの反応を撮った動画が公開されましたが、お越しいただいた皆さんも同じような反応をなさると思います(笑)。「え? ここは本当に帝劇?」となると思うので、まずはそのセットから手応えを感じています。

-話題作で井上さんとのダブルキャストという、甲斐さんにとって大きなチャレンジになる作品だと思います。最初に本作に出演が決まったときには、どんな思いがありましたか。

 比べることではないですが、今までで1番、責任重大だなと思いました。今後も上演が続いていく作品だと思いますし、自分の代表作になれたらいいなとも思います。たくさんの作品をご覧になっている日本のミュージカルファンの皆さまを驚かせられる作品だと思いますし、革命的なものになったらいいなと思います。

-クリスチャンという役柄のどんなところにポイントを置いて演じたいと考えていますか。

 クリスチャンは実はすごく難しい役柄だと思います。劇中のムーラン・ルージュで起こった出来事は過去の話で、今現在はクリスチャンが一人で、その当時を振り返っているという構造になっています。なので、ストーリーテラーという立ち位置でもあるし、過去の物語の中でのクリスチャンもいる。その演じわけがとても難しい。演じる上では、クリスチャンの若さやアグレッシブさを大切にしたいと思っています。彼は、自分がこうなりたいというパワーや根拠のない自信があるんですよ。それは若さゆえですが、この役柄にとってとても大事な要素で、そうした彼の勢いがあるからこそ、ここで描かれている彼の運命につながるんだと思います。

-そうしたクリスチャンのアグレッシブさや若さゆえの行動に、甲斐さんは共感できますか。

 そうですね、彼がたくさんのことを経験したいと思い、行動するパワーにはとても共感できます。僕はまだ25年しか生きていないから、知らない世界の方が多い。だからこそ、知りたいという気持ちが大きいですし、世界にも飛んでいきたいと思っています。昨年、初めてニューヨークに行き、そこで「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」を見てきました。その時の僕は、パリを訪れた時のクリスチャンと似ていたと思います。クリスチャンは、パリに着いた日に、ロートレックやサンティアゴ、サティーンに出会って、その日のうちに恋に落ちます。展開がとんでもなく速いんですよ。でも、その歯車が一気にあって、バーッと物事が進み出す状況はすごく理解できます。環境が変わった瞬間に滞っていた何かが弾けるというのは、きっと多くの方に共感していただけることだと思います。

-ダブルキャストでクリスチャンを演じる井上さんについてはどう感じていますか。

 芳雄さんとダブルキャストだと最初に聞いたときは、本当に驚きましたが、とてもうれしいことですし、楽しくやらせていただいています。稽古場では、「ここはこうだよね」と芳雄さんから声をかけてくれ、役について話してくださるので、僕をダブルキャストの俳優として扱ってくださっているのを感じます。もちろん、それは当たり前のことなのかもしれませんが、何しろレジェンドですから。僕は勝手に生徒と先生のような感じになるのではないかとイメージしていたので、“俳優と俳優”として接していただけていることがすごくうれしいです。

-サティーン役の望海風斗さん、平原綾香さんの印象やお稽古を通して感じているそれぞれの魅力を教えてください。

 本番ではプリンシパルはさまざまな組み合わせで上演しますが、稽古は分けた方がやりやすいということで、「エレファント・チーム」と「ウィンドミル・チーム」の2チームで行っていました。「エレファント・チーム」は芳雄さんと望海さん、「ウィンドミル・チーム」は僕と平原さんだったので、おのずと平原さんとお芝居をする回数が多かったのですが、平原さんはとても不思議な吸引力のある人だと思います。1本道を歩いていたら、気付くと後ろにたくさん人が連なっているという印象です。望海さんは、みんなで肩を組んで横一列で歩いていくようなイメージ。その真ん中にいるのが望海さんです。

-では、「真実」「美しさ」「自由」そして「愛」について語れる本作にちなんで、甲斐さんが「愛」を感じる瞬間を教えてください。

 愛と感じる瞬間は、いろいろな場面でありますよ。個人的には、“思い”を感じた時に愛を強く感じます。人間のすごいところは、目に見えないものを伝い合えることだと思います。愛も目に見えないものですが、それを感じられて、伝えられるのは人間の特権なんじゃないかなと。伝えたいとか、幸せな気持ちに満ちてもらいたいとか、共有したいという思いから愛を感じます。

-公演を楽しみにしている方にメッセージを。

 お客さまがこの作品を見た時の感情を想像すると、僕たちまで楽しみになります。この帝劇で、誰も見たことがない空間を全力で作り上げて、両手を広げて待っていますので、そこに抱かれにきてほしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」は、6月29日~8月31日に都内・帝国劇場で上演。

「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」


関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】8月の公開映画から

映画2026年9月4日

「ミニオンズ&モンスターズ」(8月7日公開)★★★ 映画のパロディーが満載  最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズがたどり着いたのは、1920年代のハリウッド。西部劇の撮影に乱入したことから映画スタジオに入り込み、人気スターと … 続きを読む

山口馬木也 柴田勝家の最期は「不思議な体験でした」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年8月30日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。8月30日放 … 続きを読む

パク・ジョンミン「一人二役は想像以上に大変でした」韓国のヒットメーカーが「ガス人間」に続いて送り出すサスペンス・ミステリーで熱演『顔 -かお-』【インタビュー】

映画2026年8月28日

 日本でも話題を集めた『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)やエグゼクティブプロデューサー&脚本を務めたNetflix「ガス人間」も大ヒットした韓国のヒットメーカー、ヨン・サンホ。その最新監督作『顔 -かお-』が8月28日から全国公開 … 続きを読む

【映画コラム】「生き残る」とは何か『ラスト・サバイバー』『シェルター』が描く極限の人間ドラマ

映画2026年8月28日

『ラスト・サバイバー』(8月28日公開)  謎のパンデミックによって人類の大半が死滅し、生き残った者たちが奪い合い、殺し合う荒廃した世界。  パイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は、元軍人のバングリー(ジョシュ・ブローリン)と共同戦 … 続きを読む

安田章大「僕が演じられたのは、のんちゃんのおかげ」のん「安田さんとの出会いは衝撃でした」自閉スペクトラム症の兄とその妹役で初共演『平行と垂直』【インタビュー】

映画2026年8月28日

 自閉スペクトラム症(ASD)の大貴は、清掃の仕事に就き、周囲のサポートを受けながら自立した生活を送っている。一方、妹の希は、心理カウンセラーとして働きながら大貴を支えて暮らしていた。長い間、変わることなく続いてきた兄妹の日常は、希の結婚話 … 続きを読む

page top