「この映画はトム・ハンクスにとっての『生きる』になったのではないかと思います」 『オットーという男』マーク・フォースター監督【インタビュー】

2023年3月9日 / 08:00

-オットーは、頑固で不機嫌なキャラクターですが、決して悪い人ではない。この絶妙なバランスを演出するのは難しかったと思いますが、何か意識したことがあれば教えてください。

 まさに、先ほどお話しした陰と陽、光と闇のバランスをどう取るかということでした。それに加えて、この話には現在と過去も出てくるので、スムーズに行き来ができるようにすることを心掛けました。あとは、コメディーとドラマとのバランスも大事でした。なので、編集で試行錯誤をしながら、バランスを見つけていったという感じです。その中で、サウンドデザインや音楽の使い方が役立ちました。とても大変な作業でしたが、楽しい時間でもありました。

-オットーが何度も自殺に失敗するシーンや、オットーが心臓の肥大という病を持つことを知ったマリソルが、思わず「ハートが大きいのね」と笑ってしまい、それにつられてオットーも笑顔になるシーンが印象的でした。シビアな状況でも、人は笑いで救われることがあるということですが、作品にユーモアを込める意味についてどう考えますか。

 笑いは、人を癒やす重要なツールになり得ると思います。暗く悲しい状況の中でも、笑うことで涙を抑えることができます。あのシーンにはダブルミーニングがあって、マリアナがとてもいい演技をしてくれて、僕が望んだバランスを絶妙に表現してくれました。あのシーンは、たとえダークな瞬間であったとしても、そこに一筋の光が現れるということを表現しています。ユーモアは人を癒やすことができるという意味でも、とても重要なものだと思います。笑うことはとても大事なことですよね。

(取材・文/田中雄二)

『オットーという男』

 

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

香川照之「僕の中では6人全員にモデルがいました」「連続ドラマW 災」【インタビュー】

ドラマ2025年4月4日

-なるほど。  でも、同一性というのは非常に厄介で、これは本当に同じ人なのかという疑問を持つわけです。本当は同一人物じゃないけど、それをメタファーとして見せているだけなのかもしれないし、もっと高尚に考えれば、その存在自体が本当にいるのかどう … 続きを読む

【週末映画コラム】壮大な“時間旅行”を定点観測で描く『HERE 時を越えて』/チームワークを旨とした戦争冒険映画『アンジェントルメン』

映画2025年4月4日

『アンジェントルメン』(4月4日公開)  第2次世界大戦下、イギリスはナチスの猛攻により窮地に追い込まれていた。特殊作戦執行部に呼び出されたガス少佐(ヘンリー・カビル)は、ガビンズ“M”少将とその部下のイアン・フレミングから、「英国軍にもナ … 続きを読む

草笛光子「老女がはちゃめちゃな、摩訶不思議な映画ですから覚悟してご覧ください(笑)」『アンジーのBARで逢いましょう』【インタビュー】

映画2025年4月3日

-松本動監督の演出について、また寺尾聰さんら共演者の印象をお願いします。  松本監督とは初めてでしたが、私の問い掛けにも親切に細かく答えてくれました。とにかく自由にやらせてもらいました。寺尾聰さんは、昭和49年のドラマ「天下のおやじ」で寺尾 … 続きを読む

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

-ところで、門脇さんは映像作品でもご活躍されていますが、舞台に立たれることに対してはどのような思いがありますか。  気持ちの面では変わらないですが、舞台はカメラが寄ってくれるわけではないので、声や体の所作で伝えなければいけないと思います。映 … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

-高知県の「やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム」も訪問されたそうですね、  「アンパンマンミュージアム」には二度伺いました。どちらの日も親子連れでいっぱいで、改めて『アンパンマン』という作品が幅広い世代に愛されていることを知り、「 … 続きを読む

Willfriends

page top