桜庭ななみ「手を差し伸べてくれる隣の人の温かさは大切なもの」支え合う大切さを描いた物語に込めた思い『有り、触れた、未来』【インタビュー】

2023年3月2日 / 08:00

-劇中では桜庭さんたちのバンドの演奏に加え、別に撮影された地元伝統の太鼓と踊りが一体になるように編集されていて、高揚感がさらに増していますね。

 幾つかの要素が一つになったおかげで、それぞれの思いと同時に、みんなが進むべき方向に一歩踏み出した瞬間が重なり合っていて、すごく感動しました。

-同時にあのシーンからは、「エンターテインメントは、人が生きる上で不可欠なもの」というメッセージも伝わってきました。コロナ禍が始まった頃、エンターテインメントの必要性を問われることもありましたが、その点について考えることはありましたか。

 監督の周りにも、やっぱり、お芝居ができない状況で苦しんでいる方がいらっしゃったらしくて、最初にお話しをしたとき、「お芝居って、このコロナ禍で必要なことなのだろうか?」という問いがあったんです。最終的に「それでも、やっていくべきだ」という結論になったんですけど。

-そうでしたか。

 いろんな意見はあるでしょうけど、エンタメには、人の気持ちを動かす力があると思うんです。私自身も幼い頃からテレビドラマに心を動かされ、自分の職業ややりたいことをそこから見つけるなど、いろんな影響を受けてきました。ファンの方から「子どもにあの役の名前を付けました」というお手紙を頂いたりするのも、すごくうれしいですし。そんなふうに元気をもらえたり、誰かを思ったり、感情を動かすことができるエンタメってやっぱりすてきだし、それはすごいことだと思います。それもこの作品で伝えたかったことの一つなので、あのシーンは私もグッときましたし、こういう伝え方ができたことはとてもうれしかったです。

-完成した映画を見た感想は?

 今の世の中、心に傷を抱えた人は少なくないと思います。それでも時間は過ぎていくし、生きて行かなければいけない。そんな中で、手を差し伸べてくれる隣の人の温かさは、すごく大切なものだなと思いました。ちょっとした温かい言葉を掛けてくれたり、寄り添ってくれたりするだけでも元気になって、前向きな気持ちになれますし…。だから、横にいる人の気遣いのありがたさや、頼ることの大切さをこの映画で思い出していただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)UNCHAIN10+1

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top