高橋和也「出会うべくして出会った映画」自分自身の感情と重なり、人生を振り返る好機に『追想ジャーニー』【インタビュー】

2022年11月11日 / 08:00

-高橋さんも最近、かつて活動していたロックバンド「男闘呼組」の再結成が大きな話題になりましたが、心情的に重なる部分もあるのでしょうか。

 この謎の男の気持ちが分かるのは、僕自身の男闘呼組の挫折に重なるからかもしれません。僕自身も18歳の頃は、文也と同じように「絶対にスターになってやる」、「自分の人生はばら色だ」と信じていたけど、24歳で活動休止になりました。そこから、それぞれの道を歩み出して29年後、こうして再び集まることができた。だから、会わなかったその29年間が大切だったんです。それがメンバーの一人一人を磨いたし、その間に挫折やいろんなことを味わったからこそ、本当に意味のある再結成になった。あのままとんとん拍子でいっていたら、こんなに素晴らしい経験は絶対にできなかったはずです。

-男闘呼組の再結成に加え、先ほど「この作品が人生を振り返るきっかけになった」という話もありましたが、50歳を超えた今、そういう人生の節目を迎えているのでしょうか。

 そうでしょうね。それと、今この作品と出会えたことも、そういう巡り合わせの一つですよね。作品との出会い、監督やキャストとの出会い、役との出会いもご縁ですから。別に、僕じゃない可能性だってあり得たわけですよ。謎の男を違う人が演じていたかもしれない。でも、僕が演じることになった。それはやっぱり、何かが僕に演じさせたんだと思うんです。

-というと?

 もちろん、監督やキャスティングプロデューサーが僕を選んでくださったからですけど、なぜ僕が選ばれたのかといえば、この役を演じる運とか縁みたいなものがあったからだと思うんです。その結果、僕もすごくいい経験ができたし、映画もすごく面白くなった。だから、やっぱり出会うべくして出会った映画だなと。

-高橋さんと同じ時代を歩んできた方たちをはじめ、人生を重ねた人たちには、とても共感できる作品だと思います。

 僕の同年代も含め、人生を振り返るような世代の方には、きっと響く物語だと思います。映画初主演の藤原くんも素晴らしいお芝居をしているので、若い方も含め、ぜひ皆さんに劇場でご覧いただきたいです。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)「追想ジャーニー」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語」』(6)オノマトペに浸かる

2025年10月28日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼それは漫画本だった  玉秀斎が小 … 続きを読む

草なぎ剛「やっぱりすごい…。心からリスペクトしています」 風吹ジュン「学ぶことも多く、新しい意識が生まれるドラマ」「終幕のロンド」【対談インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

-お二人は、娘の真琴(中村ゆり)に余命を伝えないと決めたこはるの生き方に共感できますか。 風吹 こはるは愛に生きる人なので、会えばけんかばかりしてしまう娘でも、そこには母親としての愛情しかなくて、それが彼女の決意、引いては“死にざま”につな … 続きを読む

沢村一樹「勝負は“確認作業”」 孤高の馬主が見つめる“真の競馬”とは 「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年10月27日

-感情を表に出さない冷静な椎名を、どのように意識して演技に臨んでいますか。  椎名にとって、レースは「確認作業」なんです。それが正しかったか、正しくなかったか。もし勝ったら「これが正しかったんだ」という確認ができて、逆に負けたら「何を変えた … 続きを読む

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

-そうやってお2人が繰り広げる物語がドラマチックな分、エンディングに流れる「奇跡を待ってたって」が心に染み入ってきます。 石原 映画の内容をきちんと踏まえた曲にしたかったので、エンディングが始まって何秒で風景が変わり…といったことを細かく計 … 続きを読む

市毛良枝「現代の家族のいろんな姿を見ていただけると思うし、その中で少しでもホッとしていただけたらいいなと思います」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』【インタビュー】

映画2025年10月23日

-文子が生涯学習の講座に行きますが、生涯学習についてはどう思いますか。  実は、以前、静岡県の生涯学習の委員をやっていました。それから最初に出した『山なんて嫌いだった』という本の後書きに「いつか少し時間ができたら大学に行って勉強してみたい」 … 続きを読む

Willfriends

page top