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ジェームズ・キャメロン監督「配信で見るのと、スクリーンの3Dとでは、全く違う体験だ」『アバター:ジェームズ・キャメロン 3Dリマスター』【インタビュー】

 12月16日から全国公開される『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開に先駆け、9月23日から2週間限定で『アバター:ジェームズ・キャメロン3D リマスター』が劇場公開されている。

『アバター:JC3DR』ポスタービジュアル

 ジェームズ・キャメロンが監督をした本作は、斬新な3D映像で映画界に衝撃を与え、全世界興行収入歴代1位の記録を持つSF大作『アバター』(09)を最新技術で一新し、新たに重要なシーンを追加。4K、9.1サウンドにリマスターした特別版だ。

 22世紀、人類は希少鉱物を求めて地球から遠く離れた神秘の星パンドラで「アバター・プロジェクト」を展開していた。

 それは“ナヴィ”と呼ばれるこの星の種族と人間のDNAを組み合わせた肉体「アバター」を操作員の意識で操ることで、人間に有毒な大気の問題をクリアし、ばく大な利益をもたらす鉱物を採掘するというものだった。

 この計画に参加した元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)は、車いすの身だったが、アバターを得て体の自由を取り戻す。

 だが、パンドラの地に降り立ち、ナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ちたジェイクは、パンドラの生命を脅かす任務に疑問を抱き、この星の運命を決する戦いに身を投じていく、というストーリー。

 キャメロン監督は3Dの効果について、「人間の無意識下に働きかけ、キャラクターへのより強い思い入れや、感動につながる」と語る。

 今回、13年の時を経て、リマスター版の製作に至った理由については、「この映画を劇場上映するのはいいアイデアだと思った。本作を映画館で見たことがない若い世代の映画ファンがたくさんいる。配信で見るのと、スクリーンの3Dとでは、全く違う体験だ。これはもともと大スクリーンを想定して作った映画なのだから」と話した。

 今回のリマスターについては、「もともとかなりいいものだったが、今回はよりよいバージョンになっている。公開当時にはなかった4K、そして9.1サラウンドにリマスターされ、所々に高フレームレート(1秒間に表示できる画像数を表す単位)を使い、3Dのクォリティーが向上している。これをHDRにリマスターした。だから美しくて音もいい。それに10年もたてば、人は忘れるもの。『当時は大騒ぎしたけど、実はたいしたことはなかったかも』と思い始めた人もいるかもしれないしね(笑)」と解説した。

 また、キャメロン監督はスタジオジブリの作品からインスピレーションを受けているという。

 「スタジオジブリの作品にはマジカルなリアリズムがある。少しだけ現実と離れているような。ジブリ作品と、そのアーティストを、以前から尊敬してきた。ハードなタイプやエッジのあるアニメは『アバター』の世界とは関係がないが、スタジオジブリの作品には、楽しませてもらってきた。とは言っても、そっくりにコピーするわけではない。夢のような美しさを感じさせる、そのフィーリングの部分を参考にした」と明かした。

 そして、日本の観客に向けて、「『アバター』を公開したとき、日本の皆さんは温かく受け入れてくれました。この映画をとても愛してくれました。劇場で見るという特別な体験を皆さんが覚えていてくれて、劇場で再び、その思い出とつなげてくれることを願っています。そして本作を配信やブルーレイでしか見ていない若い世代の日本の皆さん、ぜひ劇場でパンドラを経験してください」と呼び掛けた。

 その続編となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のストーリーは、第1作目から約10 年後、神秘の星パンドラの一員となり、ナヴィの女性ネイティリと結ばれた元海兵隊員のジェイクは、妻と子どもたちと共に平和に暮らしていた。ところが、再び人類がパンドラに現れて神聖な森を追われる。ジェイクと家族は、未知なる“海の部族”の元へ身を寄せるが、この美しい海辺の楽園にも、侵略の手は迫っていた…というもの。12月16日の公開が楽しみだ。

(構成/田中雄二)

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