それぞれに秘密と思いを抱える女性たちの禁断の愛を題材にした、Netflixシリーズ「金魚妻」が2月14日から全世界同時配信される。本作は、『グランドジャンプめちゃ』(集英社)に連載中の同名漫画を原作としたラブストーリー。高層タワーマンションの最上階に住み、誰もがうらやむ華やかな人生を送っているかに見える主人公・平賀さくらと金魚屋を営む春斗との切ない愛を中心に、同じタワーマンションに暮らす6人の妻たちの大人のラブストーリーを描く。さくらを演じる篠原涼子と、春斗役の岩田剛典に、撮影を通して感じたことや本作の見どころを聞いた。
-最初に台本や原作を読んだときの感想は?
篠原 私は、まず原作の漫画を読ませていただいたのですが、新幹線の中で読んでいたら後ろが気になってしまうような刺激的な描写が多く(笑)、それがどんな台本に仕上がるのかすごく楽しみでした。その後に、台本を頂いたら、映像としてもいいバランスの作品になっていたので安心しました。刺激的な描写は、なさ過ぎても期待外れになってしまうと思うので、そういう意味でも面白い作品になっていると思います。それから、群像劇として、登場人物それぞれがしっかりと描かれていて、きっと視聴者の方にも共感していただけるところがあると思います。切ないシーンも多く、「大人のラブストーリー」に仕上がっていたので、早く演じてみたいと感じました。
岩田 原作を読んだときは、やっぱり衝撃的でしたし、過激な描写も多かったので、これがどういうふうに映像化されるんだろうと僕も思いました。ですが、実際に脚本を読むと、春斗は純愛を貫いている人物なので、シンプルに大人のラブストーリーとして捉えたらいいんだなと感じました。さくらと春斗を中心にしながらも、6人の女性それぞれの物語が描かれています。どのパートでも葛藤を抱えた大人の物語が背景にあって、涼子さんがおっしゃったように、誰かしらに共感できると思います。彼女たちが、その場から一歩踏み出していく姿が描かれるので、勇気づけられる作品に仕上がっています。とにかく早く見てもらいたいです。
-それぞれの役柄をどのように捉えて演じましたか。
篠原 脚本と原作の両方を読んで感じたのは、さくらはすごくはかない女性だなということでした。私は、主人公を表現するときは、その人の分かりやすい部分を見せつけた方が伝わりやすいと思っているので、さくらに関しても「寂しい」とか「かわいそう」という人物に見えた方がいいなと思って演じていました。ただ、それだけだと悲劇のヒロインになってしまうので、その中にも強さが隠れていることが大切だと思います。この後、どうなるんだろうと期待して見てもらうためにも、光が見えてきそうな兆しや、彼女の強さからくる光を感じてもらえるような主人公を作っていけたらと思いました。
岩田 春斗は、さくらと出会ってから彼女のことをずっと思い続けるいちずな人物です。ですが、実はその裏では自分の過去や家庭環境からくる悩みを抱えています。人生の選択を迫られるタイミングでさくらと出会って、今後の自分の人生設計をどうしていくのか。春斗の生き方をお伝えしたいと思って現場に立っていました。
-それぞれが演じた役柄との共通点は?
篠原 私は、あまり寂しかったり、つらかったりする気持ちが続くことはないんですけど(笑)。例えば、そういう状況になったら、やっぱり支えてくれる誰かがいるということがすごく救いになると思います。それは恋愛だけでなく、仕事だったり、友達だったり、家族だったり、兄弟だったり…。そういう人たちがいてくれるからこそ自分自身が生きていける、笑顔になれると思うんです。そういう意味でも、さくらにとって春斗は大きな存在だったんだと思いますし、春斗への思いも共感できるところはあります。
岩田 春斗は、人間関係や家庭環境の葛藤がある中で、今の環境を築いたという役柄ですが、僕自身も今のお仕事を始めた当初は葛藤を抱えていたのを思い出しました。僕の場合は、家庭環境がどうということではなく、それまであまりイメージしていなかったお仕事だったので、そこで生まれた葛藤でしたが、リンクする部分はあったと思います。
-本作の見どころは?
篠原 こっそり見る楽しさがある作品だというところです。もうこれを聞いただけで、「どういうこと?」ってなりますよね(笑)。ぜひ、見てください(笑)! それから、この作品は、6人の女性の物語が描かれていて、それぞれに題材も違うので、飽きずに見ていただけるところも見どころだと思います。地上波では映像化が難しい部分まで描いているので、そういったシーンにももちろん注目していただけるとうれしいです。
岩田 今の時代は、刺激的な作品や攻めた作品を求める視聴者も多いと思うので、そういう意味でも今作はぴったりだと思います。地上波ではできないようなことをやっていますので、のぞき見感覚で楽しんでいただける作品になると思います。作品の性質上、刺激的な部分やセンシティブなシーンが切り取られがちですが、人間模様も楽しんでいただけるドラマになっていますので、そこも見どころだと思います。
-地上波では難しいことも映像化しているということですが、撮影中に、Netflixならではだと感じたことはありましたか。
篠原 禁断の愛を正面から描いているというところが、そもそもNetflixならではだと思います。制限がないので、自由に演じることができてすごく楽しかったです。みんなで作っているという感覚もあり、たくさんの初めての経験がありました。
岩田 撮影前には「リスペクトトレーニング」と呼ばれる、ハラスメントを防止するための講習が行われたのですが、僕はそれも初めての経験でした。もちろん、みんな大人なので分かっていることではあるのですが、改めてそれをルール化することで、より安全に、より信頼できる関係を作ってお芝居ができるということなのかなと思います。すごく丁寧だなと驚きました。
篠原 私も初めてで…。俳優を続けていく上でも、すごく勉強になりました。
(取材・文・写真/嶋田真己)
Netflixシリーズ「金魚妻」は、2月14日からNetflixで全世界独占配信。