【インタビュー】映画『truth ~姦しき弔いの果て~』堤幸彦監督「この映画を撮って、視界がすっきり晴れた」ヒットメーカーがコロナ禍中のコメディー映画で新境地に開眼!

2022年1月7日 / 11:48

-コロナ禍という逆境の中、そういう作品が撮れたことは励みになったのでは?

 そうですね。視界がすっきり晴れたということは、あるんじゃないでしょうか。「映画を撮ってくれ」と言われると、どうしても責任を背負うので、多額の製作費を投下した分、少なくともその人たちに恥をかかせちゃいかんな、俳優にも恥をかかせちゃいかんな、という責任感が出てきます。それが、監督としての純粋性を曇らせるんです。でも今回は、「役者とプロデューサーと監督は、同じ方向を目指す戦友だ」という純粋性がすごくありました。今までの自分の映画作りをちょっと反省しました。

-そうすると、これから映画に対する向き合い方も変わってくると?

 より一層、旗幟(きし)鮮明になったというのはあります。まずは、同じ方向を目指す仲間が必要だなと。映画は1人では撮れませんから。だから、これからもいろんなチャンスを頂いていますが、一つでも二つでも「同じ船に乗ろうじゃないか」という気持ちで作っていかなきゃいけないなと。

-なるほど。

 それから、もともと、異業種から部外者的な気持ちで入ってきて映画を撮り始めたとき、恐る恐る作っていく中で遠慮しがちだった「社会に何をどう問うべきか」というテーマ性みたいなものを、この作品ではきれいにはめ込んでエンターテインメント化することができました。今後、オリジナルで作っていきたいと思っている作品でも、そういうことを堂々とやっていかないと、イーストウッドさんやポン・ジュノさんには近づけないな、と。1000キロぐらい先にいらっしゃって、遠過ぎる背中ですけど(笑)。

-そういう映画を作る機会を与えてくれた3人に贈る言葉は?

 「自由をくれて、ありがとう」みたいなことかな…。この映画を撮ることで、「くびき」みたいなものから解放された感じもありましたし。そう考えると、やっぱり僕からは「感謝」、「ありがとう」しかないですね。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2021映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ

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