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【インタビュー】「EXTREME ACTION」山本千尋「サバイバルのようなアクションを志して」気鋭の若手女優がオールアクションのドラマに挑戦!

 中国武術の国際大会で優勝経験を持ち、得意のアクション作品から三谷幸喜作のコメディーまで、多彩な活躍を見せる気鋭の若手女優・山本千尋。彼女が「LINE NEWS」の動画プロジェクト「VISION」で配信中の「EXTREME ACTION」で、「007」シリーズなどでも採用された全世界注目のアクション、パルクールに挑戦した。アジア人として前人未到の全米チャンピオンに輝いた日本パルクール界のパイオニア、ZENとの共演で新境地を切り開いた山本に、撮影の舞台裏から女優としての思い、好きな映画の話まで幅広く聞いた。

山本千尋(写真:Tomoko Tominaga)

-いつも見事な山本さんの中国武術に圧倒されていますが、今回のパルクールも初挑戦ながら迫力満点でした。道具を使わず、自分の体一つで壁や障害物を乗り越えるスピード感がパルクールの魅力ですが、挑戦してみた感想は?

 それについては、ZENさんと打ち合わせをしたとき、すごく心打たれるお話を聞いたんです。パルクールは一見派手なので、「パフォーマンスですよね?」という質問を受けたことがあり、その際、「パフォーマンスや採点は後付けで、パルクールにはサバイバル中に逃げたり戦ったりする意味がある」と答えたそうなんです。それを聞いて、私がやってきた中国武術も同じだなと。女優活動をさせていただく中で、私が「いかに派手に見せるか」というパフォーマンス寄りの考えになっていたことに気付かされました。ZENさんの言葉がいい刺激になり、今回はサバイバルのようなアクションを志してやることができました。

-パルクールのトレーニングはいかがでしたか。

 短時間でしたが、ZENさん直々の指導で、しっかり練習させていただきました。ZENさんのインスタグラムもずっと見ていましたが、本物のチャンピオンの動きは、参考にできないぐらいすごくて、何回見ても飽きなかったです。パルクールに対するZENさんの思いも間近で感じることができ、素晴らしい競技だなと。今後アクションをやっていく上で、「逃げる」、「飛び越える」といったパルクールのアクションは必ず生きると思ったので、素晴らしい経験をさせていただきました。

-今回はスマホ用のコンテンツということで、画面が縦型なのも特徴ですね。

 画角が狭かったため、相手との距離が普段の半分以下に縮まったり、一歩ずれただけで画面から外れてしまったり、すごく繊細な作業で難しかったです。ただ、そういう制約の中で演じるのも楽しかったですし、縦型ということで、主観映像を見ているような感覚になるんです。そういう意味で、アトラクションに乗っているような世界観に浸れるのが面白かったです。

-この作品を含め、アクションを組み立てる際に心掛けていることは?

 プロであるアクション部の皆さんにつけてもらったアクションを、いかに準備して表現できるかが、私たち演者の仕事だと思っています。ただ、皆さんも私のことを全て理解しているわけではないので、「いかにアクション部の皆さんに、自分のできる動きを最大限アピールするか」ということをいつも心掛けています。その上でアクションをつけていただき、もしやりづらいところがあれば、話し合って。「いいアクションを映像に残したい」という思いはお互いに一緒なので、いかに準備をするか、いかに意見を言い合える関係を築くかが大事だと思っています。私が意見を出すと、アクション部の皆さんも喜んでくれますし。

-一方、最近は連続ドラマ「着飾る恋には理由があって」(21)や、三谷幸喜さん脚本・演出のコメディー「誰かが、見ている」(amazonプライム・ビデオで配信中)などアクションだけでなく、幅広い作品に出演していますね。アクションとの兼ね合いはどう考えていますか。

 アクション一本で、とこだわっているわけではなく、自分の持ち味や引き出しとして、アクションが一つの強みだと思っています。基本的に、表現することが好きなんです。三谷さんのコメディーも「こんな楽しいことある?」っていうぐらい楽しかったですし、普通のお芝居も難しいけど楽しいですし、アクションにしかできない表現も面白いですし…。女優としていろんなジャンルに挑戦することが目標なので、そういう環境にいさせてもらえることがすごく幸せです。

-ところで、演じるだけでなく、趣味も映画鑑賞とのことですが、お好きなアクション映画やスターは?

 普段は映画ばかり見ているので、そういう話をすると止まらなくなっちゃうんですけど…(笑)。まず、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ユン・ピョウ、サモ・ハンは、私にとっての四天王です。

-いずれも、山本さんが生まれる前から活躍していたアクションスターですね。

 でも、やっぱりすごいです、あのアクションは。彼らを越える存在はなかなか現れませんよね。最近の方ではドニー・イェンさんにも憧れますし、『グリーン・デスティニー』(20)のチャン・ツィイーさんも大好きなので、アクションをやるときは「自分はチャン・ツィイーの生まれ変わりだ!」と思って臨んでいます(笑)。「EXTREME ACTION」をやるに当たっては、“アクションで見せる”という点で近いものがある『ジョン・ウィック』(14)を参考にさせていただきました。それと最近は、ジェット・リー様の『ターゲット・ブルー』(94)にキュンときてしまって…。

-どんなところが?

 簡単に言えば、ホイットニー・ヒューストンとケビン・コスナーの『ボディガード』(92)の香港版なんですけど、ジェット・リー様がちょっとキザで、恋愛に不器用な紳士な役なんです。でも、アクションをすると意味が分からないぐらい速くて…。そこにキュンとしてしまったので、今回、私もジェット・リー様の志を受け継ぎ、ZENさんのボディガードになったつもりでやらせていただきました(笑)。

-そういう視点で「EXTREME ACTION」を見ると、新たな発見がありそうですね。

 LINEを利用している方なら番組公式アカウントを友だち登録すれば誰でも見られますし、1話4分程度(全8回)なので、手軽に楽しんでほしいです。アクション作品のいいところは、基本的にストーリーがシンプルなこと。「EXTREME ACTION」も、兄を殺された妹の復讐(ふくしゅう)劇という単純明快な話ですけど、アクションが加わるだけですごくドラマチックになるんです。それがアクションの素晴らしさだと思うので、ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)

「EXTREME ACTION」

「EXTREME ACTION」(全8話)
シリーズ詳細ページ:https://lin.ee/EtB4YLC?mediadetail=1

 

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