【インタビュー】映画『キャッツ』トム・フーパー監督 フランチェスカ・ヘイワード「人間が踊りを通じてこれだけのことができるということを見せる作品」

2020年1月24日 / 07:13

-では、実際に猫を演じた感想は?

ヘイワード キャストの全員が、事前にキャットスクールに行って猫の動作を学びました。私はバレリーナですから、初めからかなりのアドバンテージがありました。バレエは普通にジャンプをしてしなやかに着地をするというのが基本だからです。それはすでに自分の体がマスターしていたので、猫の動きは割と覚えやすかったのです。ただ、歌う場面になると、猫の動きや姿勢のままで歌うのはとても難しかったので、どうしても人間らしい方に偏ってしまいました。そのさじ加減が大変でした。また、耳や尻尾が付いていて、常にそれが動いていることを念頭に置いて、猫らしく演じることも心掛けました。あとは、100パーセント猫に見えないように、人間らしさも残しながら踊ることも難しかったです。 
 

-そのヘイワードさんや、ジュディ・デンチをはじめとする、そうそうたるメンバーを猫にする作業は楽しかったですか。

フーパー とても楽しかったです(笑)。 
 

-猫たちを、舞台を見ているような形で表現したのは、オリジナルへのリスペクトの気持ちからでしょうか。

フーパー 舞台版の伝統を大切にするためにも、人間=俳優に演じてほしいと思いました。例えば『ライオン・キング』(19)のような写実的なもの、あるいはアニメ的な形でこの物語を作るとすると、そもそも舞台版が持っている大切な部分が損なわれると感じました。僕は、「キャッツ」はダンスミュージカルとして素晴らしいと思っています。人間が踊りを通じてこれだけのことができるということを見せる作品だと思います。ですから、ライブのダンスシーンがなければ、「キャッツ」が本来持っている力が失われてしまうと考えました。
 また、そもそもエリオットは猫について書いたわけではなく、人間についての考察をしたのです。ですから、人間と猫のハイブリッドを絵で見せることによって、エリオットが示したダブルミーニングを表現することができると思いましたし、舞台の伝統を重んじることもできると考えました。僕にとってのデジタルの毛皮は次世代のメークや衣装なのです。舞台版のように演者の体にぴったりと張り付いたレオタードを、普通の映像で仕立てることはできません。それができるのがデジタル技術なのだと思いました。
 
(取材・文/田中雄二)
 

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