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【インタビュー】映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』ナタリア・レイエス、マッケンジー・デイビス、ガブリエル・ルナ「憧れの『ターミネーター』の世界の中に自分がいるのは最高の体験でした」

 『ターミネーター2』(91)の正統な続編として製作された『ターミネーター:ニュー・フェイト』が11月8日から公開される。本作で、人類存亡のキーマンとなるダニーを演じたナタリア・レイエス、未来からやって来た強化型兵士のグレースを演じたマッケンジー・デイビス、そして最新型ターミネーターREV‐9を演じたガブリエル・ルナが来日し、インタビューに応じた。

(左から)ガブリエル・ルナ、ナタリア・レイエス、マッケンジー・デイビス

-この映画に出演したことについて、ご家族や周囲の反応はいかがでしたか。

ガブリエル そもそも、母が僕を『ターミネーター』シリーズに導いてくれました。母はシリーズの大ファンなので、今回の出演をとても喜んでくれました。地元のテキサスでブローモーションの試写があったので、家族や友人を招くことができました。その際、ロバート・ロドリゲス監督が司会をしてくれました。今回の出演が決まると、みんなから「いつから撮影?」「いつ公開?」「アーノルドはどう?」「ヨーロッパでのロケはどう?」などと質問攻めに遭いました。映画が公開されると、母は60人ぐらいを引き連れて見に行ってくれました。

マッケンジー 今回、アーノルドと共演したことで最も興味深かったことは、彼の存在に大きな影響を受けて、彼との関係性を意識しながら育ってきた人が世界中にたくさんいるということでした。なので、自分がどうというよりも、家族や友達の方が、私がアーノルドと一緒に仕事をしていることに興奮していました。「何か彼とのエピソードはないの?」なんて聞かれたりもしました。自分にとっては、今までで一番大きな作品だったので、例えば、ロンドンのバスに映画のポスターが貼ってあって、そこに私の顔があると、周りの人から驚かれたことが印象に残っています。

ナタリア 家族や友人たちがとてもワクワクしてくれて、「信じられない」と言われました。私はコロンビアの出身なのですが、国の人たちは、自分たちと同じ国の人間が大きなスクリーンに映ることに慣れていないので、映画の公開後に、友達から「本当に出演していたんだね」というメールがきました。別にうそをついていたわけではないのに…(笑)。また、私が演じたダニーが、すぐに死ぬと思った人も多かったのですが、アンダードッグ(敗者)のような、ラテン系のダニーが活躍するこの映画は、よくあるドラッグなどのマイナスイメージが全くない形でキャラクターが成立していたので、ラテン系の人間の一人として、とても誇らしく思いました。

-憧れの『ターミネーター』シリーズの中に自分が入った感覚とはどんなものだったのでしょうか。

ガブリエル 先ほどもお話しましたが、僕が10歳の時に母が『ターミネーター2』を見に連れて行ってくれました。僕には父がいなかったので、一家の大黒柱は母でした。僕は母の望み通りに、あの映画が大好きになり、自分と同年齢のジョン・コナーに共感を覚えました。そのジョンを守るアーノルドが演じたT-800が、僕にとっては父親の代理のように映りましたし、おもちゃもたくさん買いました。そのシリーズに、今回自分が参加することになったのはうれしい驚きでした。まさか、自分が何度も見てきた映画の世界と自分の人生が交錯するなんて思ってもみませんでしたから。その気持ちを言葉にするのは難しいのですが、『ターミネーター』は、自分からは遠い所にある、神話のようなものだったので、その中に自分がいるというのは、とても不思議な気がしました。でも、それは最高の体験でした。

マッケンジー 『ブレードランナー 2049』(17)やこの映画のような規模の作品に出演すると、自分が映画の世界に入ったような感覚になる瞬間があります。虚構の世界なのに、本当に自分がその世界の中にいるような気分になるのは素晴らしい体験でした。それは優れたスタッフの力によるものですが、私にとっては特別な、シュールな体験になりました。5歳の自分がファンタジーの世界の中にいるような感覚を味わうことができてラッキーだったと思います。

ナタリア 自分がアクション映画に出演するとは思っていなかったので、うれしい驚きでしたし、新たな演技の原理を学ぶという大きな挑戦にもなりました。今回は、自分にとってはレジェンドと呼べるような人たちに学びながら役を作っていきました。トレーニングは大変でしたが、撮影現場に行くと、遊園地に行ったようなワクワク感があって、とても楽しい時を過ごしました。

-ガブリエルさんはシュワルツェネッガーさんと一緒にトレーニングをしたそうですね。また、『ターミネーター2』でT-1000を演じたロバート・パトリックさんのことは意識しましたか。

ガブリエル 今回REV‐9を演じる上で、ロバートの影響はとても大きくて、『ターミネーター2』での彼の演技に感謝しています。REV‐9の存在はT-800やT-1000の延長線上にあるので、しっかり分析しようと思いました。ロバートが特にいいと思った点は、スピード感にあふれ、俊敏な動きをするところでした。短距離走的な、手を刃物のようにして、常に前進していく走り方もとても印象的でした。それらはぜひ取り入れたいと思いました。顔もしかめっ面では駄目で、顎を低くして、額が前面にくるような姿勢を取ることも大事です。あとは、制服をとてもかっこよく着こなしていたので、僕も負けないようにしようと思いました(笑)。今回は米空軍やエルパソ警察など、いろいろな制服を着ることができたので、かっこよく着ることを意識しました。

-マッケンジーさんはアクションがあまり得意ではなかったそうですね。どのように努力されたのでしょうか。

マッケンジー 最初は右手と右足が一緒に出てしまったりして、満足に歩くことすらできませんでした(笑)。私一人ではとても無理でした。本当にたくさんの人の支えがあって何とか準備することができました。キャスティングされたときはアイルランドで別の映画を撮影していましたが、そのときからトレーナーと一緒に体作りを初めました。その後、この映画の撮影に入る前の3カ月間は、栄養士も兼ねたトレーナーが付いてくれて、彼女はマッサージやストレッチもしてくれました。まるで母が娘を見守るような感じで、私の状態を理解し、調整しながら導いてくれました。私のスタントダブル(代役)にも素晴らしい人が2人付いてくれるなど、チームのみんなが本当に忍耐強く私に付き合ってくれました。私のアクションの変化は、どんなに言葉を尽くしても語れないほど大変なものでした。

-ナタリアさんは徐々にたくましくなっていく役でしたが…。

ナタリア 私は、最初はメキシコで普通の生活を送っている女性の役だったので、幸運にも、彼らほどは肉体的な準備はしなくてもよかったのですが、半年間の撮影をサバイブするだけでも相当な体力が必要でした。トレーニングも、通常のもの、水中、武器や車両、ヘリコプターの扱い方まで、全てのものを経験しました。映画が進むに連れて、最初に登場したときのダニーとの違いが分かるようにと、意識しながら演じました。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

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