エンターテインメント・ウェブマガジン
アフリカの大地を舞台に、未来の王シンバの冒険と成長を描き大ヒットを記録したアニメーション映画『ライオン・キング』が、実写もアニメーションも超えた“超実写版”としてよみがえり、8月9日から全国公開される。公開を前に来日したジョン・ファブロー監督に、映画に込めた思いや製作の裏話を聞いた。
テクノロジーの発達は私たちを一つにすることを可能にしましたが、逆に考え方の違いを誇張して、私たちを隔ててしまう原因にもなりました。その中で、新しいテクノロジーを使ったこの映画が、人と人とのつながりを改めて考えるきっかけになってくれればとてもうれしいと思います。
「サークル・オブ・ライフ」という概念は、人間同士が互いに対する責任について考えることであり、自分たちが前の世代から何を受け継いだのか、そして次の世代にどんなものを渡していけるのかを考えることだと思います。『ライオン・キング』の良さは、生き物たちの世界を描いているので、一つの文化などに限定されずに、普遍的なものとして見ることができるところです。おとぎ話や良質な神話の良さは、どんな世代の心にも響くし、その中には真実が含まれているところなのです。
もちろん、25年前のアニメーションはとても美しい作品です。ただ、ディズニーは、どうすればアニメーション作品を実写作品としてリメークできるかということを模索し続けています。また、観客も自分の大好きな物語が新しいメディアでどう描かれるのか、ということに興味や関心を持っていると思います。今回は「まるで実写のようだ」と観客に感じさせることが新たな試みでした。しかも、普通の実写版と肩を並べられるような映像にしたかったのです。また、同じ物語をまた違った形でつづり直すのは、映画作りの昔からの伝統でもあります。
ただ、今回難しかったのは、オリジナルの映画が大好きで、細部まで知り尽くしている人がたくさんいるだけに、ストーリーを大きく変えることができなかった点です。でも、だからこそ、技術やキャスト、作品のトーンで変化をつける努力をし、結果的には新たな『ライオン・キング』を作ることができたと自負しています。今回はナラの役割を少し広げました。
私は、ヒーロー物、ディズニー物といろいろな映画を手掛けていますが、どんな映画についても変わらないのは、キャスティングに対する“よい目”を持っていることだと思います。それは自分が俳優からスタートしたので、その点については敏感なのかもしれません。ただ、今回彼らの魅力を教えてくれたのは、私の子どもたちでした(笑)。息子は、ドナルド(ミュージシャン名はチャイルディッシュ・ガンビーノ)の写真を壁に貼っていたり、車の中でずっと彼の曲を聴いていたりしましたし、2人の娘と妻はビヨンセの大ファンです。
私は今52歳なので、そうした環境がなければ、彼らの魅力を最大限に感じることはできなかったと思います。子どもの目を通して世界を見たり、そこに通じることができるのは本当に素晴らしいことだと思います。それによって自分も若々しくいられ、しっかりと今を生きることができるし、オープンな視点を持つことができます。今回は、彼らのおかげで、素晴らしいパフォーマーたちをキャスティングすることができました。
音楽は、オリジナルが完璧なものだったので、大きく変えるつもりはありませんでした。何と言ってもハンス・ジマーの作曲が素晴らしいです。オリジナルのときは、製作費が少なくてデジタルの楽器を使っていましたが、今回は製作費があったので、フルオーケストラで録ることができました。また、ドナルドとビヨンセのデュエットは彼らのスピリットが感じられてとても素晴らしかったと思います。
映画2025年11月6日
三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む
映画2025年11月1日
『爆弾』(10月31日公開) 酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。 やがてその言葉 … 続きを読む
ドラマ2025年10月31日
福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む
ドラマ2025年10月31日
NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年10月31日
宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む