【インタビュー】『ライオン・キング』ジョン・ファブロー監督「技術やキャスト、作品のトーンで変化をつける努力をし、新たな『ライオン・キング』を作ることができたと自負しています」

2019年8月2日 / 15:26

 アフリカの大地を舞台に、未来の王シンバの冒険と成長を描き大ヒットを記録したアニメーション映画『ライオン・キング』が、実写もアニメーションも超えた“超実写版”としてよみがえり、8月9日から全国公開される。公開を前に来日したジョン・ファブロー監督に、映画に込めた思いや製作の裏話を聞いた。

ジョン・ファブロー監督

-この物語のテーマの一つである、「サークル・オブ・ライフ(生命の環)」は、オリジナルのアニメーションが作られた25年前とはまた違った意味を持ってきていると思いますが、今回「サークル・オブ・ライフ」というメッセージを通して、一番伝えたかったことは何ですか。

 テクノロジーの発達は私たちを一つにすることを可能にしましたが、逆に考え方の違いを誇張して、私たちを隔ててしまう原因にもなりました。その中で、新しいテクノロジーを使ったこの映画が、人と人とのつながりを改めて考えるきっかけになってくれればとてもうれしいと思います。

 「サークル・オブ・ライフ」という概念は、人間同士が互いに対する責任について考えることであり、自分たちが前の世代から何を受け継いだのか、そして次の世代にどんなものを渡していけるのかを考えることだと思います。『ライオン・キング』の良さは、生き物たちの世界を描いているので、一つの文化などに限定されずに、普遍的なものとして見ることができるところです。おとぎ話や良質な神話の良さは、どんな世代の心にも響くし、その中には真実が含まれているところなのです。

-これはよく聞かれる質問だと思いますが、なぜ今また『ライオン・キング』なのか、また一度出来上がったものをリメークする意義をどこに感じましたか。

 もちろん、25年前のアニメーションはとても美しい作品です。ただ、ディズニーは、どうすればアニメーション作品を実写作品としてリメークできるかということを模索し続けています。また、観客も自分の大好きな物語が新しいメディアでどう描かれるのか、ということに興味や関心を持っていると思います。今回は「まるで実写のようだ」と観客に感じさせることが新たな試みでした。しかも、普通の実写版と肩を並べられるような映像にしたかったのです。また、同じ物語をまた違った形でつづり直すのは、映画作りの昔からの伝統でもあります。

 ただ、今回難しかったのは、オリジナルの映画が大好きで、細部まで知り尽くしている人がたくさんいるだけに、ストーリーを大きく変えることができなかった点です。でも、だからこそ、技術やキャスト、作品のトーンで変化をつける努力をし、結果的には新たな『ライオン・キング』を作ることができたと自負しています。今回はナラの役割を少し広げました。

-ドナルド・グローバー(シンバ)、ビヨンセ・ノウルズ(ナラ)、セス・ローゲン(プンバァ)らを、キャスティングした理由は?

 私は、ヒーロー物、ディズニー物といろいろな映画を手掛けていますが、どんな映画についても変わらないのは、キャスティングに対する“よい目”を持っていることだと思います。それは自分が俳優からスタートしたので、その点については敏感なのかもしれません。ただ、今回彼らの魅力を教えてくれたのは、私の子どもたちでした(笑)。息子は、ドナルド(ミュージシャン名はチャイルディッシュ・ガンビーノ)の写真を壁に貼っていたり、車の中でずっと彼の曲を聴いていたりしましたし、2人の娘と妻はビヨンセの大ファンです。

 私は今52歳なので、そうした環境がなければ、彼らの魅力を最大限に感じることはできなかったと思います。子どもの目を通して世界を見たり、そこに通じることができるのは本当に素晴らしいことだと思います。それによって自分も若々しくいられ、しっかりと今を生きることができるし、オープンな視点を持つことができます。今回は、彼らのおかげで、素晴らしいパフォーマーたちをキャスティングすることができました。

-ファレル・ウィリアムスがプロデュースした今回の音楽についてはどう思いますか。

 音楽は、オリジナルが完璧なものだったので、大きく変えるつもりはありませんでした。何と言ってもハンス・ジマーの作曲が素晴らしいです。オリジナルのときは、製作費が少なくてデジタルの楽器を使っていましたが、今回は製作費があったので、フルオーケストラで録ることができました。また、ドナルドとビヨンセのデュエットは彼らのスピリットが感じられてとても素晴らしかったと思います。

 
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