【インタビュー】『この道』大森南朋「白秋の“ぶざまだけど天才”という部分が表現できればいいかなと」

2019年1月7日 / 12:00

-劇中では、誰もが知っている音楽がバックに流れます。何か懐かしい気持ちが呼び起こされるところがありますね。

 今回、演じるに当たり、改めてCDで聴いたりもしました。自分が最初に歌を聴いたのがいつだったのかは思い出せないのですが、歌のフレーズや詩を見聞きして「あれ、これ知ってる」みたいな瞬間が何度もあり、懐かしさを感じながら演じていました。僕よりも先輩の方たちがこの映画を見て、童心に帰るような気持ちになっていただけたら、うれしいです。

-白秋は「この道」について「歌を聞いた人が自分の中のこの道を思い浮かべてくれればいい」と言っていますが、大森さんは何が思い浮かびますか。

 小学校のときの通学路や、居残りをさせられたときに友だちが待っていてくれた夕暮れの橋の上とかを思い出しますね。

-では最後に、この映画のみどころと、観客に向けて一言お願いします。

 タイトルは少し硬めですけが、笑ってもらえる要素もある映画だと思うので、純粋に楽しんで見ていただけたらと思います。そして、童謡誕生100年という意識を少し持っていただいて、日本にもこんな素晴らしい歌があったんだと改めて気付いていただければいいなと。年配の方にも、若い方にも楽しんでいただけたらと思います。
 僕としては、なかなかこういうキャラクターを演じさせてもらえる機会がなかったので、特別な思いがある映画になりました。この映画を見た別の映画製作のスタッフに、またこういう役で呼んでいだだきたいなと(笑)。50歳手前で、また新たな一面を出していければと思います。

(取材・文/田中雄二)

 

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

Willfriends

page top