名だたる刀剣が戦士の姿となった「刀剣男士」を集めて育てる刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞」を原案にした舞台『刀剣乱舞』の最新作、「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」が6月2日から開幕する。第1弾公演「虚伝 燃ゆる本能寺」(16)以来、へし切長谷部を演じる和田雅成に、シリーズの集大成となる本作に懸ける思いを聞いた。
-現在、お稽古中ですが、いかがですか。
あっぷあっぷです(笑)。でも、ぜいたくなお稽古をさせていただいていると思います。座長の(三日月宗近役の)鈴木拡樹さんをはじめ、第一線で活躍されている方がいっぱい出ている作品なので、学ぶことが多いです。拡樹さんもマッキー(山姥切国広役の荒牧慶彦)も、自分が今まで培ってきた技術を惜しむことなく人に教えてくれる人で、いろいろなアドバイスをもらっています。キャストたちはみんな、漏れなく負けず嫌いなやつばっかなので(笑)、暇があったら練習しています。
-シリーズ6作目ということで、キャスト同士の絆も深いカンパニーなんでしょうね。
そうですね。今回、新しく入ったキャストたちも、熱い人が多くて。だから、僕らもそれに負けないように、お互いに切磋琢磨しながらやっている感じです。
-最初にこの作品に出演することが決まったとき、役作りとしてゲームはされたのですか。
はい、だいぶやりこみました。
-へし切長谷部は出ました?
そりゃそうですよ(笑)! 近待(ゲーム内の第一部隊の部隊長)から外さないですよ、意地でも(笑)!
-最初は、ゲームを参考にして役作りもされたんですか。
もちろん、刀剣としての歴史もありますが、最初はゲームを始めました。その後で、時代背景を知るために、史実の勉強をして、トレースして、ゲームも史実も、いいところを自分がものにできるようにと、作っていった感じです。
-シリーズを重ねて、役柄への解釈が深まったり、役への思いが変わってきたりということはありますか。
自分でも深めてきたつもりはありますが、これまでの物語の中で、へし切長谷部がこの本丸でどう成長していったかがつむがれているので、脚本・演出の末満健一さんと一緒に作ってきたのだと思ってます。
-最新作では、どんなところを意識して演じていますか。
ネタバレになってしまうので、今はあまり言えないのですが(笑)。僕自身、前作よりも成長した姿をお見せできたらいいなって思います。
-今回、十二振りが出演されるということも話題になっています。
もちろん、十二振りが出るというのは見どころです。十二振りが並ぶシーンがあるんですが、それは壮観です。それと、今回描かれるのはある意味、僕たちが舞台『刀剣乱舞』として、カンパニーとして、作品としてたどり着きたかった“場所”なのかもしれません。僕たちにとっては、そこにたどり着けたってことだけで魅力的です。
-では、稽古で、今、苦労していることは?
殺陣の技術が高いキャストが多いので、休憩中も他の方が演じているのを見て、盗もうと必死です。
-それは、大変でもありますが、楽しくもありますね。
そう、楽しい! 楽しいし、ちょっと腹が立ちます(笑)。うめーなって。見せ方とか、本当にうまいので、いっぱい盗みたいと思います(笑)。今回、シリーズの中で、一番殺陣が多いと思います。しかも、刀剣男士それぞれに合わせた殺陣付けをしていただいているので、それぞれの色が出た殺陣になっている。それも見どころです。
-和田さんの殺陣はどんな特徴があるのですか。
スマートさですかね。へし切長谷部のセリフに「圧し切る」という言葉があるんですが、「圧し切る」ときにはグッと力を入れて斬ります。でも、それ以外は敵に斬られても笑っていることが多いんですよ。普通、「グワーッ」って(うめくような)ところで笑うんです。そこにスマートさを感じています。
-今回の公演は、長い歴史を持ち、東京を代表する劇場としても知られる明治座からスタートします。和田さんは、別作品でも明治座には立たれましたが、どんな劇場だと感じていますか。
どの劇場でも僕らがやることは変わらないんですが、劇場が持つパワーはそれぞれ違うんです。明治座には、すごくパワーを感じました。舞台裏にいろんな人の思いがあるな、と。別作品の公演中、心がぐっちゃぐっちゃになって、体力もなくなって、つらくなったときがあったんですが、そのとき、ちょうど裏を回って逆の袖に行かなくちゃいけなくて…ステージ裏の暗い場所に入った瞬間に元気になったことがあったんですよね。そういうパワーがあの劇場にはありました。だから、今回も楽しみです、あのステージに立てることは誇らしいことでもあるので。
-今回の公演では、京都と福岡という地方公演もあります。
さっきも言いましたが、場所が変わるだけで、僕らがやることは変わらないんですが、それでも京都で3週間もやれることはあまりないことですし、福岡もご飯がおいしいですし(笑)。それぞれ楽しみです。
-最後に、公演への意気込みを。
55公演という少なくない公演数なので、誰一人欠けることなく、千秋楽のカーテンコールを迎えるというのが、カンパニーの一番の目標です。拡樹さんが、初演のときから「戦い続ける座組み」とずっと言っているんですが、この作品でも戦い続けていきたいと思います!
(取材・文・写真/嶋田真己)
「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」は、6月2日~6日に明治座、6月14日~7月1日に京都劇場、7月4日~6日にアルモニーサンク 北九州ソレイユホール、7月19日~22日に日本青年館ホール、7月25日~29日に天王洲 銀河劇場で上演。7月29日の大千秋楽には全国の映画館でライブビューイングが決定。詳細は公式サイトまで。
公式サイト:https://www.marv.jp/special/toukenranbu/