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【インタビュー】「連続ドラマW闇の伴走者~編集長の条件」松下奈緒「ぜひパート3をやりたいです!」と新感覚ドラマにはまる

 出版関係専門の調査員・優希(松下奈緒)とフリーの漫画編集者・醍醐(古田新太)が、漫画にまつわる殺人事件の真相に迫る姿を描いて人気を博したドラマ(15)の続編「連続ドラマW闇の伴走者~編集長の条件」。本作で、優希は編集長となった醍醐と、伝説の漫画編集者・南部の謎の死を追い駆ける中、作者不明の古い漫画画稿や戦後最大の怪事件「下山事件」が絡む驚きの真実にたどり着く。古田とダブル主演した松下が、待望の続編に弾む胸中や、撮影時のエピソードなどを語ってくれた。

ヘアメイク/鈴木麻水美、スタイリスト/大沼こずえ 衣装/ADORE

-サスペンスと漫画が融合している風変わりなシリーズですね。

 ストーリーはダークでサスペンス要素が強いですけど、漫画がキーになることで興味を持つ人の範囲が広がるし、ただの殺人事件ではなくファンタスティックにもなり、1話を見ると、2話、3話と見たくなる、魔法のようなドラマになっています。

-続編の話を聞いたときの率直な感想は?

 こういうテイストのドラマはやったことがなく、周りからも「続きはないの?」と言われるほど話題になっていたし、何よりも自分が、前作が終わった時点で「続きできるよね?」と期待していました。プロデューサーにも「やりたいな」と言い続けていたので、3年たってようやく実現すると聞いたときは、すごくうれしかったです。

-古田さんとの再タッグはいかがでしたか。

 前回は、まさかご一緒できるなんて思ってもいなかった、尊敬する役者さんが目の前にいて、どうしていいか分からない中で撮影が始まりましたが、結果的には、古田さんに引っ張ってもらいながら、心地よく芝居ができて楽しかったです。今回は、憧れのまなざしを向けるだけでなく、優希と醍醐のように対等でいたり、攻めたりしていけるようにと臨みましたが、意外に同じシーンが前作ほどありませんでした(笑)。でも、久しぶりにお会いしてもそんなふうに感じさせてくれなかったので、とても助かりました。

-今回は1949年に起き、未解決となった、当時の国鉄総裁の下山定則氏が亡くなった「下山事件」が絡み、前作以上に複雑怪奇なストーリーになっていますね。

 正直に言うと、この事件を知らなかったので、撮影前にいろいろ調べましたが、その時点で優希のようにのめり込んでいる自分が少し怖いと思いました。それに、実際にあった事件をフィクションの物語に絡めてくる技がすごいですね。どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションなのか、境が分からなくなるところが面白くもあるし、そもそもミステリアスな事件なので、より謎が深まってドラマに引き込まれていくと思います。

-本作で優希はバツイチになっていますが、それ以外の変化や、演じる上で心掛けたことはありましたか。

 前作は、かなり融通が利かなかったり、とがったりしていましたが、本作では、離婚や母の死、姉との関係がうまくいっていないこともあって、人の弱さに敏感になったり、人の心に寄り添えたり、マイルドになっていると思います。監督からは、演じるたびに「もうちょっと優しく」と言われていたので、私自身も機械のように動くのではなく、人間らしさを心掛けて演じていました。

-松下さんに優希と似ている部分はあるのでしょうか。

 決めたことは絶対に自分で何とかしたいという気持ちはあるので、優希ほどではなくても頑固ですね(笑)。優希は格好いい女性というわけではないけれども、持っている芯の強さは格好いいと思うし、自分もそうなりたいと憧れます。

-撮影時に、特に苦労したことがあれば教えてください。

 他の方の長ぜりふのあとに、私の「分かりました」みたいな一言ぜりふがあるんですが、絶対にミスができない緊張感に、最初は本当にやめてほしいと思っていました。ただ、そのハラハラ感がだんだん心地よくなり、自分に課せられた試練のように思えてきて、最後は「やってやろう」という気になっていました。一番つらかったのは、寒さです。12~1月の撮影だったのですが、南部さんが転落死した屋上でのシーンでは、一度上ったらなかなか降りられないので大変でした。

-そのつらさを乗り越えるモチベーションになっていたものはありますか。

 ロケ地が新大久保だったので、休憩のたびに韓国フードを楽しませていただきました。チーズタッカルビが気に入りました。

-本作では、『墨攻』の森秀樹さん、『ドーベルマン刑事』の平松伸二さんら、一流漫画家が担当する劇中漫画も見どころですが、松下さんは漫画はお好きですか。

 はやっている漫画を少し読むくらいですけど、この場合、水木しげるさんと言った方がいいですか?(笑)(2010年の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で水木の妻役を演じた)。でも、『墓場の鬼太郎』は本当に好きです。絵の気持ち悪さはさすがだなと思いますし、鬼太郎の出生の秘密には衝撃が走りました。劇中に出てきた『ONE PIECE』に興味を持ったので、これから読んでみたいです。

-優希も徐々に漫画に詳しくなっていますから、松下さんが漫画を知ることは、さらなる続きのためにもなりますね。

 ぜひパート3をやりたいです! 本作の台本を読み終えた後に、この先にも何かがあるんじゃないかな? という予感があったし、次は優希と醍醐が何に立ち向かっていくのか、その姿が見たいです。

(取材・文・写真/錦怜那)

(C)2008-2018, WOWOW INC.

 「連続ドラマW闇の伴走者~編集長の条件」(毎週土曜午後10時)はWOWOWで3月31日放送スタート。※第1話無料放送

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