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『アマチュア』(4月11日公開)
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内気な性格で愛妻家のチャーリー・ヘラー(ラミ・マレック)は、CIA本部でサイバー捜査官として働くデスクワーカー。最愛の妻サラ(レイチェル・ブロズナハン)と共に平穏な日々を過ごしていたが、無差別テロ事件で妻を失ったことから、テロリストへの復讐(ふくしゅう)を決意する。
チャーリーは、CIAの上層部に直訴して特殊任務の訓練を受けるが、銃すら扱えず、教官のヘンダーソン(ローレンス・フィッシュバーン)から、適性がないと見放されてしまう。組織の協力も得られない中、チャーリーは独自の方法でテロリストたちを追い詰めていくが、事件の裏には驚くべき陰謀が隠されていた。
『ボヘミアン・ラプソディ』(18)でフレディ・マーキュリーを演じてアカデミー賞の主演男優賞を受賞したラミ・マレックが主演と製作を兼任したアクションサスペンス。原作はスパイ小説を多く手がけるロバート・リテル。監督はジェームズ・ホーズ。
主人公のチャーリーは、殺しや特殊任務に関しては“アマチュア”=つまり素人だが、CIA最高のIQを持つ超頭脳派というところがこの映画のポイント。
かつてロバート・レッドフォード主演の『コンドル』(75)やハリソン・フォード主演の「ジャック・ライアン」シリーズなど、武闘派ではないCIA分析官を主人公にした映画はあったが、どちらもそれほど弱そうには見えなかった。その点、この映画でラミックが演じたチャーリーは情けないほど弱いのだが、アクションサスペンスなのに主人公が“へたれ”というギャップが逆に新鮮に見えて面白かった。
また、チャーリーを鍛えるメンター(指導者)でありながら、後に彼の始末を命じられるCIA教官のヘンダーソンのキャラクターも同様。つまりこの映画は、二重構造や意外性、そしてギャップの面白さで見せる映画なのだ。
(田中雄二)