創作活動に共通する苦悩や喜び、そして熱気を描いた『大河への道』『ハケンアニメ!』【映画コラム】

2022年5月19日 / 07:00

『ハケンアニメ!』(5月20日公開)

(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

 直木賞作家・辻村深月がアニメ業界で頑張る人々の姿を描いた同名小説を、『水曜日が消えた』(20)の吉野耕平監督が映画化。

 地方公務員からアニメーション業界に転身し、苦節7年を経て監督となった斎藤瞳(吉岡里帆)は、デビュー作『サウンドバック 奏の石』で、憧れの天才監督・王子千晴(中村倫也)と、同時間帯の放送枠で“覇権”を争うことになる。

 王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その後は沈黙。プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)は、そんな王子の8年ぶりに監督復帰作『運命戦線リデルライト』で大勝負に出る。

 一方、瞳はくせ者プロデューサーの行城理(柄本佑)や、個性的なスタッフたちと共に、覇権奪還を目指して奮闘するが…。

 アニメ製作の裏側やハウツーを見せながら、創作活動全般に共通する苦悩や喜び、そして熱気を描く。実写はもちろん、アニメの制作も一筋縄ではいかぬことがよく分かるので、これは、ある意味、“お仕事映画”という言い方もできるだろう。

 劇中に登場するアニメは、実際に第一線で活躍するクリエーターたちが手掛け、キャストとして梶裕貴ら、人気声優が多数出演しているということだが、アニメに無知な自分にとっては、そのありがたみはいま一つピンとこない。

 ただ、そんなアニメには門外漢の自分が、彼らの熱気や仕事ぶりに打たれて、劇中で制作されるアニメが見てみたいと思ったのだから、それこそが、この映画が良作である証しだという気がした。

(田中雄二)

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