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特に、ルーティンを大切にするチューさんと、決してその邪魔をしない珠子という、2人の日常の何げないしぐさが自然で、彼らが本当の親子のように見えてくる瞬間が何度もあった。
自閉症の子どもを持つ親からの、「普段は一緒に映画を見ていられないけれど、この映画はずっと見てくれた。チューさんのことを友達だと思っている」という反響もあったという。
自分は、チューさんと里村の息子との関係を見ながら、『アラバマ物語』(62)の主人公の子どもたちと、隣家に住む心優しき知的障害者のブー(ロバート・デュバル)との関係を思い出した。
77分の小品だが、いろいろなことを考えさせられる映画。蛇足だが、若手ながらなかなかの腕前を見せた和島香太郎監督は、元横綱北の富士のおいだという。(田中雄二)