【映画コラム】今こそ、「生きていることの幸せ」を描いた映画を見よう(part1)『素晴らしき哉、人生!』『カイロの紫のバラ』『デーヴ』

2020年4月23日 / 05:01

『デーヴ』(93)

 小さな職業斡旋所を営む好人物のデーヴ(ケビン・クライン)。米大統領とそっくりな彼が、“パートタイム”で大統領の“影武者”に雇われる。そんな折、大統領が、愛人との秘密の情事の最中に意識不明の重体に。側近たちは急場をしのぐためにデーヴに“常勤”を申し出る。ところが、一般市民のデーヴの目から見ると政治の世界はおかしなことばかり。彼は“普通のやり方”で政策を見直していく。やがて護衛官、報道官、閣僚たち、そして大統領夫人(シガーニー・ウィーバー)もデーヴの不思議な魅力に引かれて変化していく。

 お人よしのデーヴと憎々しい大統領の二役を見事に演じたクライン、珍しくチャーミングなウィーバーのほか、副大統領役のベン・キングスレーら、脇役たちの活躍も見逃せない。アイバン・ライトマン監督のこの映画には、政治家にはこうあってほしいという願望が込められている。アメリカの建国以来の理想主義を、政治コメディーの形を借りて現代によみがえらせた傑作だ。(田中雄二)

『デーヴ』 WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

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