【映画コラム】家族の在り方や描き方は多種多様『万引き家族』

2018年6月9日 / 19:27

 また、本作と同時期に、血のつながりや先祖こそが大切と説く『リメンバー・ミー』や、寓話的に理想の家族像を喜劇の中で描いた山田洋次監督の『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』が公開されたことも逆説的で興味深い。

 これらは本作の対極にあるとも思えるが、山田監督は『誰も知らない』を、自身が選んだ「家族を描いた50本の映画」の中に入れている。自分とはスタイルが違うが、家族を描くにはこういう方法もあるということを認めているのだ。

 つまり、家族の在り方や描き方は多種多様であり、その中で是枝監督の家族を描くスタンスは、観客の好むと好まざるにかかわらず、確立されているということなのだろう。今回の受賞は、そうした一貫性も評価されたのではないだろうか。(田中雄二)

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