【映画コラム】CGの発達で映画化が可能になった『ランペイジ 巨獣大乱闘』と『ピーターラビット』

2018年5月19日 / 17:12

 もう一本は、1902年の初出版以来、世界中で親しまれているビアトリクス・ポター原作の絵本を初めて実写映画化した『ピーターラビット』だ。

『ピーターラビット』

 舞台はイギリスの湖水地方。いたずら好きなウサギのピーターたちと、ビア(ローズ・バーン)が暮らす家の隣に、気難しいマグレガー(ドーナル・グリーソン)が引っ越してきた。彼とビアが“いい雰囲気”になる中、嫉妬したピーターは、マグレガーに対してさまざまないたずらを仕掛ける。マグレガーも反撃し、闘いはエスカレートしていくが…。

 アメリカ人監督のウィル・グラックは、ピーターを“いたずらが過ぎるウサギ”に設定し直して、映画全体を英国流のブラックでシニカルな笑いで包んだ。それに加えて、ピーターと闘いを繰り広げるマグレガーが、『ホーム・アローン』(90)でマコーレー・カルキン少年にやられまくったジョー・ペシとダニエル・スターンに重なって見えてくるような、アメリカンコメディーの要素も入れ込んだ。このあたり、原作のイメージを大切にする人は、いささか面食らうかもしれない。

 ところで、グラック監督は実写とCGの合体について「この映画は基本的には実写映画のつもりで撮った。アニメーションのスタイルは取っていない。それは、人間の実写とウサギや他の動物を組み合わせた後で、CGを使っていることを観客が忘れてしまうようにしたかったから」と語る。

 確かにCGの発達は、映画化不可能とされた題材の映画化を可能にし、映画製作の幅を広げた。この2作もCGありきの映画には違いないが、もはやCGの使用は映画の中でこなれ、“ごく普通のこと”になった気もする。(田中雄二)

 

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