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だが、それができるのも、懐の深い演技力があればこそ。CMで演じる桃太郎役を筆頭に、コメディータッチの作品では軽妙な芝居を披露する。その一方で、『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』(16)などのハードなドラマでは引き締まった表情を見せる。また、大河ドラマのファンであれば、「篤姫」(08)で演じた徳川家茂のりりしい将軍ぶりを思い出す人も多いだろう。見る者を惑わす慶喜のつかみどころのないキャラクターは、役ごとに多彩な表情を見せる松田ならではだ。
全身全霊をかたむけて吉之助を熱演する鈴木と、それを懐の深い芝居で受け止める慶喜役の松田。対照的な2人の演技のぶつかり合いが、明治維新に向けて加速していく物語を、さらに盛り上げてくれるに違いない。(井上健一)