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その意味では、「幕末グルメ ブシメシ!2」(NHK BSプレミアム 毎週水曜日午後11時放送中)の主人公・酒田伴四郎も、瀬戸ならではのキャラクターだといえる。
高野藩に仕える伴四郎は、変装して屋敷を抜け出し、江戸の街へ繰り出す藩主・松平茂照(草刈正雄)の素性を知る唯一の人間。日々、自由気ままな茂照に翻弄される伴四郎だが、愛妻・すず(三吉彩花)を思いながら振るう料理の腕前で、数々の問題を解決していく。
シリーズ第2弾となる本作では、茂照から「奪われた密書を探せ」という密命を受けた伴四郎が他藩に潜入。その捜索中、難題に直面した際のコミカルな姿と、包丁を握ったときの生き生きとした表情の落差が、人間味あふれる伴四郎という人物の魅力を伝える。
装いこそ大きく変わらないものの、「能ある鷹は爪を隠す」という言葉が似合いそうなそのギャップは、どこか女装する蔵之介にも通じるものがある。
さらに、そんな瀬戸の持ち味を生かした役として、もう一つ挙げておきたいのが、ドラマ「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系・17)で演じた高校の英語教師・島津智一。一見、おとなしくて地味な人物だが、身に付けていた「アクティブラーニング」という授業法で思わぬ才能を発揮。やがてそれが、停滞していた学校を変えていく一つのきっかけとなる。
この作品でも瀬戸は、表面上はおとなしい島津が、秘められた意外な才能をきっかけに変化していく様子を、繊細に演じてみせた。
振り返ってみれば、そもそも出世作となった「仮面ライダーキバ」(テレビ朝日系・08~09)で演じた紅渡も、人見知りの激しい、引きこもりの青年という、およそヒーローらしからぬ主人公だった。
そう考えると、振れ幅の広い役を演じる才能は、瀬戸が生まれ持ったものなのかもしれない。しかも、一つの役柄の中で落差のあるキャラクターを表現しながらも、持ち前の明るさがベースにあるので、決して見る者に悪い印象を与えない。そんな瀬戸がどんな活躍を見せてくれるのか。今期のドラマ見ていると、その展開と共に彼自身の今後が楽しみになってくる。(井上健一)