【映画コラム】もはやSFとは呼べない『her/世界でひとつの彼女』と『トランセンデンス』

2014年6月28日 / 18:55

 人間とコンピューターとの関わりや共存について描いた2本の映画が28日から公開された。

Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

 今年のアカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞したスパイク・ジョーンズ監督の『her/世界でひとつの彼女』の舞台は近未来のロサンゼルス。妻と離婚寸前の“手紙の代筆ライター”セオドア(ホアキン・フェニックス)が人工知能型OS(オペレーティングシステム)の“声”であるサマンサに恋をするという話だ。

 一見すると奇抜なアイデアを扱った際物のようにも思えるが、ジョーンズ監督は、人とのコミュニケーションが苦手なセオドアが知的でユーモラスでセクシーなサマンサに引かれていく様子とやがて“2人”に訪れる別れを丹念に描いて、特異な設定ながら恋愛に関する普遍的な物語として提示している。

 普段はエキセントリックな役を演じることが多いフェニックスが本作では孤独な中年男を好演。サマンサを演じたスカーレット・ヨハンソンは声だけの出演だが、もし彼女から恋をささやかれたら、セオドアならずともメロメロになるに違いないと思わせるもうけ役となった。2人の心情を反映したオリジナルの音楽も心に残る。

 
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