【映画コラム】映画で楽しむ“サッカーワールドカップ”

2014年7月5日 / 16:08

 サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会もいよいよ大詰めを迎えた。そこで今回は少々趣向を変え、映画で楽しむ“サッカーワールドカップ”と題して各国の“サッカー映画”を紹介しよう。

 まずはスウェーデンから『サッカー小僧』(74)が登場。天才的なサッカーセンスを買われ、6歳でプロチームにスカウトされたヨハン。彼は期待に応えて大人顔負けの活躍を見せるが…。当時の現役選手が多数出演したリアルな試合シーンが見ものだが、『ロッタちゃん』シリーズや『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(85)といった子どもが主人公の映画を手掛けたワルデマル・ベルゲンダールが製作しただけに、学校にも行けず、普通の子どもとしての生活ができなくなったことで悩むヨハンの姿もきちんと描いている。

 続いてはアメリカから『勝利への脱出』(80)。第2次世界大戦中にドイツ軍の捕虜となった連合軍兵士とドイツ代表との間で行われたサッカーの試合と、その背後で進められた脱走計画を描く。巨匠ジョン・ヒューストンが監督し、シルベスター・スタローンやマイケル・ケインといったスターに加えて、元ブラジル代表で“キング”と呼ばれたペレが出演。華麗なプレーを披露したほか、サッカーのテクニカルアドバイザーも務めた。

 アジアからは中国(香港)代表の『少林サッカー』(01)。少林拳の達人(チャウ・シンチー)ときょうだい弟子がサッカーチームを結成し全国制覇を目指す様子を描く傑作コメディーだ。シンチーが監督・脚本・主演を務め、CGを駆使してサッカーと少林拳にワイヤアクションを融合させた。彼らが繰り出す秘技や試合の場面が見もの。

 最後はイギリスから2本。『ベッカムに恋して』(02)の主人公は、サッカーと元イングランド代表のデビッド・ベッカムが大好きなインド系の18歳の女の子。彼女が地元の女子サッカーチームに入団し、両親の反対、恋や友情に悩みながらもプロ選手を目指す様子を描いた青春映画。ベッカム本人は出演していない。

 片や、マンチェスター・ユナイテッドで活躍したエリック・カントナが本人役で出演したケン・ローチ監督の『エリックを探して』(09)は、人生に疲れた中年の郵便配達員エリックの前に、突如憧れのヒーローのカントナが現れ、彼のアドバイスによってエリックが立ち直っていくさまをユーモアとペーソスを交えて描く。カントナの現役時代の映像が挿入されるほか、彼が語る「サッカーの真髄はシュートではなくパスにある。信頼できる仲間との連携プレーにこそ価値があるんだ」など人生にも通じる含蓄のある言葉の数々も心に残る。

 ここでは劇映画に限定して5作品を紹介したが、サッカーを扱ったドキュメンタリー映画なども数多く製作されている。あなたも自分好みのサッカー映画を探してみてはいかが。(田中雄二)


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