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名無しの探偵(大泉洋)と相棒の高田(松田龍平)の迷?コンビが難事件に挑むシリーズ第2弾『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』が大ヒット公開中。本作は、大泉の地元、北海道・札幌の歓楽街ススキノを舞台に繰り広げられるハードボイルドアクション劇だが、どこかとぼけたムードが漂うのも魅力の一つ。その点、松田の父、優作が主演したテレビドラマ「探偵物語」をほうふつとさせる。
前作『探偵はBARにいる』(11)で映画初主演を果たした大泉は、かつてテレビのコメディードラマで活躍した石立鉄男に似た風貌と雰囲気を持っている。コメディーの中にペーソスを漂わせながら、シリアスな演技にもさえを見せるのだ。今回は“映画の中の大泉洋”について書いてみる。
1973年に北海道江別市で生まれた大泉の映画デビュー作は、北海道を舞台にした『ガメラ2 レギオン襲来』(96)。地下鉄の乗客という小さな役だったが、所属事務所の社長・鈴井貴之のミスで大泉の名前はエンドロールに出なかった。また、鈴井が監督した『銀のエンゼル』(04)には、六ッ木晴男(ろっき・はるお)の役名で出演。これは『ロッキー』の主人公ロッキー・バルボアをもじったものだった。ちなみに鈴井と大泉は、北海道テレビのバラエティー旅番組「水曜どうでしょう」で数々の珍道中を繰り広げた仲。映画関連でも2人の迷コンビぶりがうかがえて楽しい。
その後、テレビドラマで人気を得た大泉は、北海道の女子カーリングチームのコーチを演じた『シムソンズ』(06)、ねずみ男を怪演した『ゲゲゲの鬼太郎』(07)、高校野球のダメ監督を演じた『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(11)を経て、『探偵はBARにいる』でついに主役の座に躍り出た。
そして、またも北海道を舞台に原田知世と夫婦役を演じた『しあわせのパン』(12)、自由人のパンクロッカーに扮(ふん)した『グッモーエビアン!』(12)と続き、今年は『探偵はBARにいる2~』と三谷幸喜監督作『清須会議』で堂々の主役を張った。特に三谷監督の前作『ステキな金縛り』(11)ではエンドロールのみの出演だっただけに、『清須会議』の羽柴秀吉役は喜びもひとしおだったという。
今も活動の拠点を北海道に置きローカルタレントを名乗る大泉洋。彼が今度はどんな役で映画に登場するのかと思うと目が離せない。(田中雄二)