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とはいえ、名のある女性でも、絶対に活躍させられないわけではない。それは、ある程度きちんとした史実が残っている場合だ。本作でこれに当てはまるのが、田鶴(関水渚)だ。
田鶴は、今川家の家臣の血筋で、瀬名とも幼なじみのいわゆる“お姫さま”だ。それ故、普通に考えれば派手な活躍は難しいところ。だが田鶴には、引間城主として家康との決戦に臨んだという史実がある。
それを踏まえて、第11回では家康と対決。脚本や演出もさえ、はかなく散っていったりりしい姿が見る者の胸を打つ名シーンとなった。また第5回、瀬名たち関口家の今川脱出計画の発覚に一役買った場面も、そんな逸話から創造したと考えれば納得がいく。
このように、本作では女性たちのキャラクターを見極めた上で、違和感の生じない範囲で活躍させている。それが作品を豊かにすることにつながっているように思える。女大鼠と千代の対決は、その巧みさが生きた場面だった。2人とも自由度の高いキャラクターだけに、今後もさらなる活躍で物語を盛り上げてくれるに違いない。
ところで、活躍させるのは難しいと言った瀬名だが、彼女にも今後、歴史に残る大事件が待ち受けている。それを本作ではどう描くのか。期待して待ちたい。
(井上健一)