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これらの三谷の巧みな作劇に関しては、先日、「歴史探偵」とのコラボに関して取材した記事(「鎌倉殿の13人」佐藤二朗と山本耕史が後半戦の権力闘争を徹底調査! 「歴史探偵」スペシャルコラボ放送)の中にある、制作統括・清水拓哉氏の次の言葉が端的に表している。
これは、これまで“自害”とされてきた伊東祐親(浅野和之)の最期を、善児(梶原善)による暗殺として描いた舞台裏を明かしたものだ。
「吾妻鏡には、“伊東祐親が自害した”と書かれている。ところが、最後の1行に“三浦が駆けつけてみると、遺体がきれいに片付けられていた”という記述がある。三谷さんはそのわずか1行を手掛かりに、“わざわざそう書かれているのはなぜか?”と想像を膨らませてあの場面を作り上げた」
この言葉が象徴するように、13人の合議制誕生を描いた第27回こそは、歴史の空白を巧みに縫ってドラマを生み出す三谷大河の本領が存分に発揮された回だったといえるのではないだろうか。
(井上健一)