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NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。これまで物語をけん引してきた鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(大泉洋)が亡くなり、7月17日放送の第27回から新章がスタートした。これに合わせて、7月20日放送の歴史番組「歴史探偵」では、「鎌倉殿の13人」とのスペシャルコラボが実現。「鎌倉バトルロイヤル」と題して、頼朝亡き後の御家人たちの権力闘争を徹底調査する。
この放送を前に「鎌倉殿の13人」の制作統括を務める清水拓哉チーフプロデューサーと「歴史探偵」の河井雅也チーフプロデューサーが取材に応じ、番組の見どころや制作の舞台裏を語ってくれた。
「歴史探偵」は、俳優の佐藤二朗率いる探偵社が、現場調査、科学実験、シミュレーションを駆使して、古代から戦国、幕末まで歴史的大事件の真相に迫る新感覚の歴史番組。
ご存じの通り、探偵所長の佐藤は「鎌倉殿の13人」にも北条家のライバル、比企一族の当主・比企能員役で出演している。さらにこの回は、主人公・北条義時(小栗旬)の盟友・三浦義村役の山本耕史がスペシャルゲストとして登場。この顔合わせを実現させた河井氏は、山本の起用理由と期待を次のように語った。
「今回は、これから『鎌倉殿の13人』後半戦で描かれる歴史を見ていくことになります。その中で重要なキーパーソンとなる三浦義村を演じる山本さんに、僕らが作った調査VTRを見ていただいたら、どんな反応をするのか。さらに、その山本さんの反応を受けて、佐藤さんがどんなリアクションでトークを盛り上げていくのか。予測不可能な楽しさもあり、2人の化学反応を見せられたら」と。
事前に番組を見た清水氏によると「ドラマの出演者として歴史と視聴者の日常の間にいる佐藤さん、山本さんがちょうどいい歴史の扉への誘い役になっている。彼らのリアクションを聞いていると、歴史の奥の奥の世界にぐいぐい引き込まれていくのでは」とのこと。
今回、番組では数人の人物にスポットを当てるが、その1人がやがて初代執権として鎌倉幕府の頂点に立つ北条時政だ。「鎌倉殿の13人」では、ややのんきでドジなところはありつつも、裏表がなく憎めない好人物として坂東彌十郎が演じている。だが、今回紹介される人物像は、それとはだいぶ異なる。
これについて清水氏は「時政については、研究者の間でも見解が分かれる」と前置きした上で、「鎌倉殿の13人」のスタンスを次のように説明した。
「ドラマなので、より劇的だったり、皮肉が効いていたり、運命的だったりする描き方を選んでいる。今回、時政がああいうキャラクターになったのは、『どんな父親だったら、(主人公の北条)義時の人生がドラマチックになるだろう?』と考えた結果。仮に、最初から時政を権謀術数に長けた大政治家にしてしまうと、頼朝とかぶる。2人の間で揺れる義時の姿も見てみたかった。そんなふうに、1年間、いかにドラマを盛り上げていくかを考え、歴史解釈としてもあり得る範囲の中から選択している」
その上で「時政自身が覚悟を持って権力の座をつかみに行く姿はいずれ描かれます」と打ち明け、今後の波乱を予感させた。
歴史番組の制作者として「これまで、北条時政は“裏で暗躍した野心家”みたいなイメージで捉えてきた」という河井氏は、清水氏が語る「鎌倉殿の13人」の時政を「“いいお父さん”みたいな感じで始まり、野心を芽生えさせていく作りはうまい」と評価。