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一見、何でもない場面で、普通であれば、政子の覚悟を示すこの一言だけで済むところ。だが、そこに「身重なんですけど…」とやんわり嫌がるりくや「帰りたい…」と愚痴る実衣とのやりとりを交えることで、それぞれのキャラクターが引き立ち、シーン自体がより印象深くなる。その積み重ねが、後々、りくや実衣たちの活躍を描く際に生きてくるに違いない。
その裏付け、というわけでもないが、三谷作品で女性の登場人物として印象に残っているのが、「真田丸」(16)で主人公・真田信繁(堺雅人)の幼なじみとして登場したきり(長澤まさみ)だ。
放送開始当初は、「うざい」などと批判を浴びながらも、最終的には見事に物語を締めくくり、喝采を浴びたことを覚えている人も多いだろう。
制作統括を務める清水拓哉氏は、放送開始前のインタビューで「当時の女性は一般的に日陰の存在で、政子だけが特別だった、というわけではありません。他にも、自分の夫を操り、積極的に舵取りをしていく強い女性たちが次々に登場します」と語っており、更なる女性たちの活躍が期待される。
また、今後も、義時の正妻・比奈(堀田真由)、義経の愛妾・静御前(石橋静河)、義経の正妻・里(三浦透子)といった女性たちの登場が、演じるキャストと共に発表されている。彼女たちの史実を基に、三谷がどのようなドラマを編み上げていくのか。その行方も楽しみだ。
(井上健一)