【連続テレビ小説コラム】「カムカムエヴリバディ」第19週 さまざまな人々の交わりを描く物語が、夢破れた2人の若者に示す未来とは

2022年3月13日 / 07:00

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。3月7日~11日に放送された第19週では、時代劇スターの夢破れた五十嵐文四郎(本郷奏多)が、条映映画村とヒロイン、大月ひなた(川栄李奈)の前から去り、長年、藤井小夜子(新川優愛)に思いを寄せてきたひなたの弟・桃太郎(青木柚)は失恋した。

大月ひなた役の川栄李奈(左)と大月るい役の深津絵里 (C)NHK

 本作に登場するヒロインの周囲の男たちは、誰もが夢を追いながら、ことごとく破れていく。

繊維業を営む家業の海外展開という夢を戦争によって絶たれ、戦場に散った初代ヒロイン・安子(上白石萌音)の夫の雉真稔(松村北斗)。

 野球一筋に打ち込みながらも、戦争で甲子園への道を閉ざされた稔の弟の勇(村上虹郎)。

 戦災孤児となった後、生きる希望を見出したトランペットで身を立てる直前までたどり着きながらも、原因不明の病気で断念せざるを得なかった2代目ヒロイン・るい(深津絵里)の夫・大月錠一郎(オダギリジョー)。

 これに対して、安子、るい、ひなた、という3人のヒロインたちは、さほど大きな夢は抱いていない。それでも、家族を戦争で失い、まだ幼かった娘のるいと悲痛な別れを経験した安子を除けば、るいもひなたも、温かな人たちに囲まれ、ささやかながらも「幸福」と呼べる人生を歩んでいる。

 また、同じ男性でも、夢破れた人間とは異なり、堅実な人生を送る者がいる。例えば、かつて安子のご近所さんだった赤螺吉右衛門(堀部圭亮)は、亡き父・吉兵衛(堀部:二役)の意志を継ぐかのように、商店街で電器店を営んでいる。

 その息子でひなたの同級生・吉之丞(徳永ゆうき)も店を継ぎ、桃太郎だけでなくひなたも驚かせた小夜子との結婚が決まった。

 その一方、彼ら市井の人々とは対照的に、長年華やかなスポットライトを浴びる“モモケン”こと桃山剣之介(尾上菊之助)のようなスターもいる。

 しかし、モモケンと同じ条映映画村には、一時の低迷から再起を果たした女優の美咲すみれ(安達祐実)もいれば、一度はチャンスをつかみながらも40年間、大部屋俳優として斬られ役を続けている伴虚無蔵(松重豊)のような男もいる。さらに、錠一郎に代わり、音楽で世に出たトミー北沢(早乙女太一)の存在も。

 平凡な人生を歩むヒロインたち市井の人間と、華やかな世界に生きる人々。一見、互いに無縁の世界にいるように見える彼らの人生は、るいが営む回転焼き屋“大月”で、居酒屋“うちいり”で、そして条映映画村で少しずつ交わっていく。

 時には、店先で産けづいたるいをモモケンが病院まで送ったり、ひなたの何げない一言が悩んでいたモモケンを救ったりすることもある。

 誰もが同じ世界に存在し、互いに関わり、支え合いながら生きている。華やかであろうが、なかろうが、どんな道をたどっても、人生は同じように尊い。多様な人々の交わりを描いた物語からは、そんなメッセージが浮かび上がってくる。

 
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