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また、京の宿屋で所持金を使い果たし、途方に暮れる場面。栄一にはぎとられた布団を引き戻して再び丸くなった喜作は、「ああ…どうしているかな、よし(妻)のやつ…。俺がいねえで、寂しい正月だったんべなあ…」とぼやく。その意外なかわいらしさ。
いずれも、今までとは一味違う2人の個性が垣間見えた場面だが、仮に2人きりでなく、他の家族や仲間が一緒だったら、同じやり取りが成立しただろうか。そう考えると、やはり栄一と喜作は「生涯の相棒」なのだと思えてくる。
史実をひも解くと、栄一と喜作にはこの先それぞれ、波瀾(はらん)万丈な人生が待ち受けている。その中で、「生涯の相棒」としての2人の絆がどんなふうに作用していくのか。ドラマにまた新たな見どころが加わった第十三回だった。(井上健一)