9月29日から始まるNHK連続テレビ小説「マッサン」で玉山鉄二とシャーロット・ケイト・フォックスが夫婦役で共演する。造り酒屋の次男坊、マッサンこと亀山政春(玉山)はウイスキー造りの奥深さに目覚め、単身スコットランドに留学。そして、そこで知り合った妻のエリー(シャーロット)と共に、国産ウイスキー造りに情熱を燃やす。撮影現場での息もぴったりの二人が、新ドラマについて語った。
-二人はスコットランドで出会いますね。
シャーロット 第1次世界大戦直後のスコットランドの人々は皆沈みがちでした。エリーも息が詰まるような状態にいたところでマッサンと出会ったのです。彼のウイスキー造りに対する情熱や愛情に引かれたのだと思います。
-二人の今の関係はどんな感じですか。
玉山 「僕の笑顔が彼女の笑顔、彼女の笑顔が僕の笑顔」という関係がベースなのかなと思っています。
シャーロット 私が疲れていると玉山さんは、私の肩をたたきながら「分かるよ」と言ってくれるし、「一緒に前に進もう」と励ましてくれます。
-互いの人間性についてはどう思いますか。
玉山 彼女は頑張り屋さんです。不思議なことに日本人らしい奥ゆかしさを持っています。近くにいると心地良い感じのする女性です。
シャーロット 玉山さんは優しいし、何かに打ち込む姿に魅力を感じます。
-撮影現場の雰囲気はいかがですか。
玉山 僕があるシーンで行き詰まったとき、彼女が大阪弁で突っ込んだり覚えたての日本語を叫んだりして気持ちをほぐしてくれました。現場に笑いが漂っていて楽しいです。彼女はギョーザが大好きで、この日を乗り切ったらギョーザが食べられるという日の最後のシーンではギョーザダンスを踊っていました(笑)。キュートでしたよ。
-日本に来てから半年、ご家族とは連絡を取り合っていますか。
シャーロット メールをやりとりしたり、インターネット電話で話したりしています。
-お二人とも外国語を話すのは大変ではないですか。
玉山 最初は英語の芝居が多かったのでテープを聴いて練習しました。でも一部は日本語でアフレコになってしまって…。うっすらとつたない英語が聞こえるので、それを聞いてもらえば多少は僕の努力も報われるのではないでしょうか(笑)。
シャーロット 自分がちゃんとせりふを言えているのかどうかが本当に心配でした。今はかなり良くなってきています。
-役作りで考えたこと、準備したことはありますか。
玉山 役者人生の中で“朝ドラ”の主役ができるのは一度しかない。だから“朝ドラ”の伝統を残しながら、どこかで自分の足跡を残したいという思いがあります。体も絞りましたが、撮影が過酷過ぎて体重が十数キロも減ってしまいました。大きなプレッシャーを感じています。最初の2カ月は勢いだけでいけましたが、自分がやっているマッサンが正解なのかと考えることが多く、悩みもあります。視聴者の方が僕に抱くイメージは、クールで無口という感じだと思いますが、そのイメージを壊したいですね。“ニュー玉山”を前面に出したいという思いもあるのですが、今回僕に与えられたマッサンというキャラクターがすごく破天荒で、喜怒哀楽が激しくて、脇が甘くて、ただ情熱が強い、という役なので、新しいものを見せられるという気がしています。
-朝ドラの経験はご自分にとってどんな意味を持つと思いますか。
玉山 この過酷な現場で演じ切れば、これからの役者人生の一つのベースになると思います。マッサンという役が武器になって糧になって、これからの自分の背中を押してくれるものになると思います。
シャーロット この経験の後なら何でもできると感じると思います。忍耐強くなりましたし、プロ意識が芽生えたつもりです。
-スコットランドの歌が日本で「蛍の光」として歌われていることはどう思いましたか。
シャーロット あれはとても人気のある曲で米国でも新年に歌います。日本の「蛍の光」を聞いたときは、覚えやすいし、日本語でも良い歌だなと思いました。
-このドラマでは大正から昭和初期にかけての時代が描かれますね。
玉山 ドラマのいろんなエピソードを通じて、日本の職人魂の力強さやはい上がってくるハングリー精神を感じてくださればうれしいです。日本人は、日本人としての美しさや文化を忘れかけていると思います。このドラマを見ながら、近所へのお節介とか回覧板とか井戸端会議のように、いろんな情報を共有していくコミュニティーのあり方についてあらためて考えていただくことができればいいと思います。