映画『MONSTERZ モンスターズ』の中田秀夫監督と主演の藤原竜也が公開に合わせてインタビューに応じ、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(10)以来となったコンビ作への思いや撮影現場の雰囲気、次回作の構想などを語った。
藤原と山田孝之が初共演したことでも話題を集める本作は、ひと目見ただけで全ての人間を意のままに操ることのできる“男”(藤原)と、唯一その力の影響を受けない青年・田中終一(山田)による生死を懸けた宿命の対決を描く。
-『インシテミル~』以来のタッグ作となりましたが、藤原さんの印象はいかがですか。
中田監督 面と向かって言うのは少し照れますが『インシテミル~』で初めて竜也くんと一緒にやってみて、とても素晴らしいと思いましたし、しっかりとした信頼関係が築けました。今回、竜也くんから最初に言われたのは「(今回は)叫ばなくてもいいですよね?」でした。『インシテミル~』は割と叫ぶ役でしたので(笑)。
-藤原さんは気持ちの上で前回と違っていた部分はありますか。
藤原 監督に『インシテミル~』とほぼ同じスタッフさんを用意していただいたので、とてもやりやすかったです。この映画のような特殊な役も好きなので楽しみながらやりました。今回は山田くんとの出会いもありましたが、“中田組”と呼ばれているスタッフの方たちが本当に好きなので、みんなで作品を作っていく喜びを感じながら撮影しました。
-山田さんとは意外にも初共演でしたが、撮影はいかがでしたか。
藤原 この映画の山田くんの役を考えると、本番に向けてのテンションのつくり方や緊張感の維持が特に難しかったと思います。苦労しながらも見事にワンカットずつこなしていく彼の姿を隣で見ていて頼もしく思いました。まさに演じた田中終一そのものでした。彼に引っ張られる瞬間がたくさんありましたし、いい作品でいいタイミングで出会わせてもらったという思いがします。
-今回のようなダークな面を持つ役柄を演じる上で心掛けていることはありますか。
藤原 特にないです。監督や作品が違えばこちらも自然に変化します。今回も中田監督のオーケーをもらうためにワンカットずつ必死に付いていったという感じです。目で表現するのは人間の全てを物語るようで面白かった。監督が細かく指示をしてくださって、撮影現場の空間もリアルでいいものをつくってもらいました。一つ分からなかったのは、監督が妙に僕の尻を撮りたがっていたことです。
-それでシャワーシーンが入っているんですか?
藤原 そうです(笑)。スタッフに「シャワーシーンは要るのかな?」と聞いたら、ほぼ8割のスタッフが「いや、要らないです」って言っていました。監督だけが撮りたがっていましたね(笑)。
-ダークで何かを抱えているような役柄を演じる藤原さんのどこに魅力を感じますか。
中田監督 今回は2人男の色気や魅力が出せればいいなと思っていました。例えば、僕の精神的なお師匠さんであるアルフレッド・ヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』(59)のジェームズ・メイソンは、悪役でありながらとても魅力的で感情移入ができる役でした。今回の竜也くんの役に対する僕の意識もそこにあったと思います。竜也くんが演じれば絶対に大丈夫だと思いました。
-中田監督は藤原さんのラブストーリーが撮りたかったとおっしゃっていましたが。
中田監督 出会うべきではなかった2人が出会って「なぜおまえだけが思い通りにならない」という、そのせりふだけを聞くと“ラブ”なのかなと思いますね(笑)。本来のテーマはそこにないんですけど…。
藤原 不思議な感じはしますよね。個人的には、2人は出会わなくてもよかったんじゃないかなと思います。そうすると物語が何も始まらないですけど。
-今回はラブストーリーではありませんでしたが、次回作の構想などはありますか?
中田監督 今度は何にも起こらない映画を撮りたいと竜也くんと話しました。朝起きてご飯を食べて、会社に行って帰ってきて、風呂のシーンがあってご飯を食べて寝るみたいな。見せ場は竜也くんのシャワーシーンで(笑)。
藤原 撮影中に本当に言っていたんです。「何もない映画が撮りたいですね」って。監督が動いてくれるならもちろん出たいです。僕のイメージとしては、お風呂に入っていると湯船が微妙に波立ってきて、何かが始まるわけですよ。いろいろ黒くなってきたりして。そうなっちゃいますよ。監督(笑)。
公開情報
『MONSTERZ モンスターズ』
2014年5月30日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/monsterz-movie/index.html