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【撮影現場リポート】2019年大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」 中村勘九郎「『こんな大河、見たことない』とおっしゃっていただける最高の作品に」

 7月20日、報道陣を対象にした2019年大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」のロケ取材会が、茨城県つくばみらい市にあるロケ施設“ワープステーション江戸”で行われた。

(前列左から)杉本哲太、生田斗真、中村勘九郎、役所広司、竹野内豊、(後列左から)武井壮、近藤公園、満島真之介、永山絢斗、古舘寛治、シャーロット・ケイト・フォックス

 本作は、日本が初参加し、大惨敗を喫した1912年のストックホルムオリンピックから1964年の東京オリンピックまで、日本人とオリンピックをめぐる激動の52年間を、笑いと涙でつづる物語。脚本を「あまちゃん」(13)の宮藤官九郎が担当し、大河ドラマとしては33年ぶりに近現代史に挑むこととなる。

 この日、撮影が行われたのは第8回分。明治45(1912)年、日本初のオリンピック選手に選ばれた主人公・金栗四三(中村勘九郎)らが、開催地ストックホルムへ旅立つため、観衆の見送りを受けて新橋駅に現れる場面と、そこに一足遅れて同じくオリンピック選手に選ばれた三島弥彦(生田斗真)がやって来る場面が撮影された。

 撮影に先立ち、出演者が一堂に会して会見が行われた。出席したのは、主演の勘九郎を筆頭に、生田、永山絢斗、満島真之介、近藤公園、武井壮、シャーロット・ケイト・フォックス、古舘寛治、杉本哲太、竹野内豊、役所広司の総勢11人。

 会見では、勘九郎の「ご覧になった方に『こんな大河、見たことない』とおっしゃっていただけるような、最高の作品になっていると思う」との言葉を皮切りに、「毎日の撮影にワクワクして、早くお客さまに届けたいという思いでいっぱい」(生田)、「今までにない(脚本の)宮藤さんの個性が熱く描かれている。必ず素晴らしい作品になると思う」(竹野内)、「宮藤さんの面白い脚本を基に、勘九郎くんをはじめ、素晴らしいキャストの皆さんと楽しくて熱いドラマ作りをしています」(役所)と、おのおのが意気込みを語った。

 この日の撮影場所は、これまでも大河ドラマで利用されてきたワープステーション江戸に新設された、大正・昭和の町並みを再現した近現代エリアのオープンセット。その内訳は、約1万平米の敷地に、鉄筋ビル9棟と木造建物22棟、さらに150坪のスタジオ1棟という大規模なもの。

 その印象について勘九郎は「テーマパークに足を踏み入れたような新セットで毎日撮影できていることが幸せ」と満足そう。

 他の出演者からも「初めて見た時は感動しました」(永山)、「この素晴らしいセットの中でやらせていただけることは役者冥利(みょうり)に尽きる」(竹野内)、「信じられないぐらい素晴らしいセットで感動」(シャーロット・ケイト・フォックス)と、感嘆の声が飛び出した。

 勘九郎によれば「その大きさを生かして、昭和から明治まで変わっていく様子をワンカットで撮った場面もある」とのこと。見応えのある映像が期待できそうだ。

 また、今までは中国の上海など限られた場所でしかできなかった路面電車の走行シーンが撮影できるのも、このオープンセットの特徴。この日は新橋駅前の場面ということで、その路面電車も堂々たる姿を見せていた。

 さらに、映像的な見どころとしては、8月にストックホルムでの海外ロケも予定している。現地には当時のスタジアムが残っており、3週間ほどかけて撮影を行なうという。劇中では4話にわたってストックホルムオリンピックの様子が描かれるようで、こちらも期待できそうだ。

 なお当日は、最高気温35度を越える猛暑日。「こんなに暑くなかった当時の夏も再現してほしい」(古舘)、「衣装さんが冬に向けて暖かいものを作ってくれたので、この猛暑の中ではつらい(苦笑)」(役所)と、思わず本音も漏れたが、それ以上の熱気に包まれた現場で、快調に撮影が進む。今からおよそ半年後、来年の1月の放送開始が楽しみだ。

(取材・文・写真/井上健一)

金栗四三役の中村勘九郎