1月21日から放送されているNHK大河ファンタジーのシーズン2となる「精霊の守り人 悲しき破壊神」。ロタ王国の王家に仕える密偵カシャルの一員の呪術師で、知力と武術のすべてをかけてバルサと戦うシハナ役の真木よう子が合同取材を行い、「せりふを自分流に変えた」と明かすオリジナリティーをもたせた役柄への愛着、演じることの“面白さ”への探究心、二刀流の剣アクションについてなどを語った。
日本発のファンタジー大作「精霊の守り人」シリーズを4K実写ドラマとして3年間にわたって放送しているこの作品は、前シリーズから4年後、お尋ね者となった女用心棒バルサ(綾瀬はるか)と新ヨゴ国の皇太子になったチャグム(板垣瑞生)の別れ別れとなった2人のそれぞれの冒険を描く。
──日本では珍しいファンタジー作品ですが、シハナ役で出演が決まった際の印象はいかがでしたか。抵抗などはありませんでしたか。
お話をいただいたとき原作を読んでいなくて…。でも友人が読んでいて「おもしろいよ、いい役だよ」と話した印象があって(笑)。未知の世界だったので楽しみでした。ファンタジー作品はまだやったことがないと思ったので、新しい世界でお芝居できることに対してすごく楽しみでした。
──シハナをどんな女性だと捉えていますか。
とにかくすごい野望や情熱があって、自分が正しいと思ったことには真っ向から向き合っていく。たとえばそこにたどり着くまでにまったく手段を選ばないような冷酷な部分もあると思います。でもそのすべては自分の国を良くするため。いいやつとは言えないけど、一概に悪いやつだとも言えないような人だと思います。
──演じるにあたってシハナの役作りはどのようなことをしましたか。
こんな言い方をしたら良くないかもしれないけど、脚本に忠実にやっていくよりもせっかくファンタジー要素もある物語なので最初の立ち稽古のときから監督にお願いをしてせりふの言いまわしを自分流に変えさせてもらったんです。なので、監督は最初「えっ!?」と驚いたはず(笑)。なので当初より野蛮な感じになっているかな。そんなことをして私が新人だったらしごかれていただろうけど、監督は何も言わずに自由にやらせてくれたんだと思います。
──どのようにせりふを変えたのでしょうか。変えようと思ったきっかけはどこにありましたか。
実はもっと女性らしい語尾で、「~~ですわ」なんていうせりふまわしだったんです。そういうのを全部取り払って、イメージとしては『もののけ姫』のサンみたいにしたいと思っていて。きっかけは、そっちの方がやりがいがあるし、面白いと思ったからです。どこかやんちゃな部分があって上品とは言えないような言葉遣いも。イーハン殿下(ディーン・フジオカ)以外には全員にタメ口です。私はそういう方がやっていて楽しいかなと…。原作を読んでいる人にどう思われるかなと最初は不安でしたが、私がイメージするシハナを信じてしっかり演じようと思いました。
──裾の長い衣装で二刀流の剣のアクションがありますがいかがでしたか。また、綾瀬さんとぶつかるシーンの印象は。
剣は初めてで、すごく楽しかったです。綾瀬さんの短槍は長くて難しいと思うんですけど、私は短剣だったのでやりやすかったです。短剣はシュッシュッとやるだけだし、なんでもできます。そもそもアクションが大好きなので楽しかったです。綾瀬さんと一緒の場合は、対綾瀬さんなので危なくないように何度か手合わせするようにしました。一番気を使ったのは、綾瀬さんを傷つけたらどうしようというところ。でも綾瀬さんもしっかり受けてくれる方なので、「思い切り来てくださいね」とか「絶対避けてくださいね」という話はありました。
──真木さんというとガンアクションのイメージが強いですが、短剣を使ってのアクションとの違いはどこでしょう。
剣のほうが圧倒的に動けますね。銃は構えて撃つという動作しかない。「MOZU」とか「SP」だと銃以外のアクションもやったけど、銃を持ったら撃つしかない。剣は剣で相手の手や足、首を切りにいったりいろいろな手があって、剣のほうがやっていても圧倒的に面白かったです。でも(足などが露出している)この衣装を着て森で戦うのは大変でした。もともと茂っていたところだったからブヨか何かいたんでしょうね。帰ったら内腿の裏がぶつぶつになっちゃって、いまだに消えない。どうしたらいいんだろうって思っています(笑)。
──ほかの共演者との現場でのふれあいやエピソードを教えてください。
私、役によって現場での態度が違っちゃうんです(笑)。今回はシハナ役だったので、シハナってどうしても孤立というか独立しているじゃないですか。だからなのか、鈴木梨央ちゃんには近づいてもらえなかったですね(笑)。怖かったんだと思います。意識しているわけじゃないんですけど、今回シハナを演じた上で共演者の方とお話はそんなにしなかったです。
──劇中で行動をともにしていた猿との共演については。
子どもと動物には嫌われがちなんです(笑)。でも臆さず堂々として、絶対に立場が下に見られないようにします。こっちが上だと思わせるのは得意(笑)。猿はハルちゃんっていうんですけど、(自分の肩をたたいて)こうしたら絶対登ってきます。たまに悪いことしたら叱ったりもしたし、この人の肩には乗らなきゃいけないんだって思わせるようにしつけもしました。
<プロフィール>
真木よう子(まき・ようこ)
1982年生まれ、千葉県出身。2001年女優デビュー。映画「ベロニカは死ぬことにした」で初主演。13年公開「さよなら渓谷」、「そして父になる」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞の2冠を達成。映画「海よりもまだ深く」「ぼくのおじさん」、ドラマ「最高の離婚」(フジテレビ系)「MOZU」(TBS系)など出演作多数。NHK大河ファンタジー「精霊の守り人 悲しき破壊神」に出演中。