草刈の好演も相まって、回を追うごとに昌幸の人気は上昇。ひとクセもふたクセもあるこの名将は、若者から年配の視聴者まで、幅広い世代に受け入れられることになる。そんな昌幸が、25日に放送される第38話「昌幸」をもって、退場することが伝えられると、「真田丸」ファンからは早くも“昌幸ロス”の声が挙がった。関ヶ原での西軍敗北により徳川に降伏した信繁と昌幸は、紀州九度山村に流罪となる。史実では、ついに釈放を許されることなく、九度山で病死する昌幸。その最期がどう描かれるのか、今から注目が集まっている。
“ロス現象”
これまで多くの登場人物の“退場”が描かれてきた「真田丸」。ファンは登場人物の死を惜しみ、ときには“ロス現象”が起きることもあった。第2話「決断」では、信玄の四男・武田勝頼(平岳大)が無念の自害。第11話「祝言」では、「黙れ小童!」の名台詞で親しまれた室賀正武(西村雅彦)が昌幸暗殺の返り討ちに遭い死亡。また、第13話「決戦」では、徳川軍の猛攻によって信繁の側室・梅(黒木華)が倒れ、それぞれのキャラクターに“ロス現象”が巻き起こった。
その他にも、病に伏せたまま衰弱死した秀吉を始め、小田原城陥落の際に「ここまででござる」と腹を切った北条氏政(高嶋政伸)や、関ヶ原の合戦で破れた石田三成(山本耕史)と大谷吉継(片岡愛之助)など、それぞれの武将の最期は、毎回大きな話題となった。第37話「信之」での、切腹前の大谷による「治部、楽しかったぞ」のセリフと、三成こと石田治部少輔の斬首前のほほ笑みは、2人の絆を象徴づける名シーンとして、多くの視聴者の心に刻まれた。
“ナレ死”
その一方で、「真田丸」では、主人公である信繁の見ていないことは描かないという三谷氏の方針から、歴史を動かした有名武将の最期であっても、有働由美子アナによるナレーションでの“ナレ死”で済まされることも少なくない。本能寺の変での織田信長(吉田鋼太郎)や、山崎の合戦での明智光秀(岩下尚史)などの死も、“ナレ死”で済まされている。
コミカルな脚本
そんな“ナレ死キャンセル”に代表されるように、三谷氏ならではのコミカルな脚本と演出が光るのも「真田丸」の特徴だ。第5話の「窮地」では、徳川家康(内野聖陽)ら一行が、明智の軍勢から逃れるために、「伊賀越え」を行うが、服部半蔵(浜谷健司)の「押し通ります」のひと言で、落ち武者狩りや明智軍の中を突っ走らされる家康がコントチックに描かれた。また、頼みごとを断れず、なんでも安請け合いしてしまう上杉景勝(遠藤憲一)と、呆れつつも景勝の頼みを聞き入れてしまう直江兼続(村上新悟)のやり取りも、どこか滑稽で笑いを誘う。
ほかにも、真田家の面々や、信繁を取り巻く人々が生き生きと描かれている「真田丸」。現在発売中のブルーレイ&DVDの第壱集には、第1話「船出」から、信繁が景勝のもとで暮らすことになる第12話「人質」までが収められている。また、10月19日には、第13話「決戦」から北条氏政の最期を描いた第24話「滅亡」を収録した第弐集が、12月21日には、第25話「別離」から、昌幸と信繁の2人が信幸と袂(たもと)を分かつ第35話「犬伏」を収録した第参集が発売される。毎週欠かさずに視聴している「真田丸」ファンはもちろん、これまで見落としたところがあった人も、クライマックスに向けて、ぜひチェックしておきたい。
10月19日発売 価格:各12,900円+税
発行:NHKエンタープライズ
販売元:ポニーキャニオン
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◇第壱集ブルーレイ/DVD 発売中
◇第参集ブルーレイ/DVD 12月21日発売