スガシカオ“英国のグラミー賞”を語る  「ブリットアウォーズ」が日本初放送

2012年12月8日 / 00:22

 “英国のグラミー賞”とも称されるイギリス音楽の祭典、「ブリットアウォーズ」。その受賞式の模様が、BSチャンネルのDlifeで12月8日、放送される。日本初放送となる今回のオンエアで解説を務める「ロッキング・オン」誌の山崎洋一郎編集長とミュージシャンのスガシカオが、その魅力を語った。

 

――ブリットアウォーズ授賞式のライブ映像をご覧になられて、いかがでしたか。

スガ すごく完成度が高くてびっくりしました。僕もいろんなイベントやこういった授賞式に出ることが多いんですけど、生演奏は環境が悪かったりするんですよね。でも今回の放送にのっている音はすごい格好よかったし、さすがだなと思いました。

山崎 ノエル・ギャラガーのバンドに、コールドプレイのクリス・マーティンが参加するということで、どのように参加するのかということや、ブラーの再結成ライブにとても注目していました。途中アデルのスピーチが中断されたり、ヒヤッとするようなアクシデントもありましたが、授賞式という堅苦しい場なんだけど、ポップスのイベントらしくスリリングなところもあって、むしろ面白いと思いました。

――授賞式で印象的だったところはありましたか。

スガ 今回、エド・シーランにとっても注目していたので、ブリットアウォーズでの彼のパフォーマンスをじっくり見られて、うれしかったです。

――ブリットアウォーズと他の音楽祭との違いはありますか?

山崎 グラミーとブリットアウォーズは、アメリカとイギリスを代表する音楽の賞ですけど、アメリカはアメリカらしい、イギリスはイギリスらしいアーティストの選択の仕方をしていて、それぞれの美学だったり、自国に対するプライドだったり、いろんなものが渦巻いている感じがしました。イギリスとアメリカの関係は、ロックもポップスもお互いに優勢な時期があって、今年はイギリスのアデルとエド・シーランの強さを世界に向かってアピールしようという意図が感じられました。

――エド・シーランのパフォーマンスはすごいですが、受賞のスピーチはとても素朴だと思うのですが。

スガ そうなんですよ。どこかイケてないんですよね(笑)。ブラーも、ちょっとそのイケてない感じが逆にすごく格好よかったんだろうなと思いました。アメリカのアーティストだとスピーチとかでもすごく演出してゴリゴリ押しつけてくるところがありますが、UKのアーティストは人間味がありますね。

山崎 アメリカ人の方がスピーチはうまい人が多いですね。あえて言うと、スピーチがうまくないのがブリットアウォーズっぽい、と思いました。アメリカ人の方が自分の感情や感動をオーバーに伝える人が多く、イギリス人の方はそれに比べると繊細で、どちらかというとシャイな感じがスピーチにも出ていたと思います。特にエド・シーランは、あれだけ受賞しているのにスピーチになると控えめでしたね(笑)。

――では、注目ポイントはエド・シーランでしょうか。

スガ でも、やっぱり今年はアデルの年でした。来年もそういう音楽史上に残るようなすごい人が出てくれるとうれしいですよね。見ている方としても、「どうせアデルでしょ?」とか言いつつも、アデルが賞を取ると「やっぱりすげー」みたいな。

――お二人にとってのブリットアウォーズとはどのようなものですか。

スガ 僕はルーツがアメリカンな音楽なので、ブリットアウォーズとかしっかり見たことがなかったけど、最近ここ何年か、イギリスの音楽はすごく面白いし、自分の好きなアーティストだけでなく、あまり気にしていなかったアーティストのパフォーマンスを見たりして好きになることもあるので、僕の中では好奇心の塊のようなものですね。

山崎 UKロックがすごく好きな僕にとってイギリスはロックの本場であり、その権威あるアウォードなので、ロックミュージシャンがあまりノミネートされない年は寂しいというか、ちょっとイラっとしてしまいます(笑)。R&Bやアイドルもいいけど、「イギリスはロックの祖国なんだ」というのを忘れないで、ロックバンドをきちんとフィーチャーしてほしいですね。

――最後に、視聴者の方に一言お願いします。

スガ グラミーと合わせて、世界の音楽の大きな流れを決める賞だと思うので、ぜひ見ていただいて、今、世界の音楽で何が起こっているのかというのを生で体感していただきたいと思います。

山崎 Dlifeにはドラマなど魅力的な番組もたくさんありますが、こういった音楽番組も見逃さずに見ていただきたいです。素晴らしい音楽が映像とともに見られる貴重な番組がこれから増えていくだろうし、増えていってほしいと思うので、しっかり見てほしいなと思います。

 ※「ブリットアウォーズ授賞式 2012」 Dlife 12月8日(土)後7.00~後9.00


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top