「冬ソナ」大ヒットの立役者、ユン・ソクホ監督が最新作に込めた思い「人と人が癒やし合うような温かな作品に」『夏の終わりのクラシック』【インタビュー】

2025年10月2日 / 12:00

 10月3日から全国公開となる『夏の終わりのクラシック』は、夏の終わりの韓国・済州島を舞台に、かつて心に傷を負った女性ヨンヒ(キム・ジヨン)と、亡き母の遺品整理に訪れた男性ジュヌ(ペ・スビン)の出会いと交流を描いた温かなドラマだ。

 監督は、かつて「冬のソナタ」(02)を大ヒットさせた韓国の名匠・ユン・ソクホ。本作も、日本の作家・伊吹有喜の小説『風待ちのひと』を原作にするなど、何かと日本と縁の深い人物でもある。公開を前に、作品に込めた思いや日本との縁を聞いた。

ユン・ソクホ監督

-とても温かく、心が穏やかになる作品でした。本作を手掛けることになった経緯を教えてください。

 この作品を思いついたのは、ちょうどコロナ禍の時期だったんです。当時、世の中に癒やしが必要だと考えていたときに原作の小説を読み、ぴったりな作品だと思い、ぜひ映画化したいと。コロナ禍の時期に企画を立て、撮影が終わったのがちょうどコロナ禍の終わり頃だったので、コロナ禍という時代の雰囲気が生み出した作品とも言えます。

-コロナ禍にぴったりだと感じたのは、具体的にどんな点でしょうか。

 実は当時、この原作小説のほかに『優しさの科学』(原題『The Rabbit Effect』)という本も読んだんです。どちらも、親切心や他人に関心を示すことの大切さが書かれていました。コロナ禍のようなつらい時期には、そういうことが大事になるのではないか。そう考えたことが、この作品につながっています。主人公のヨンヒは、抱えていた心の傷を、周囲の人によって癒やされてきました。そんなヨンヒが、同じように心に傷を負った男性ジュヌと出会い、周りに救われた自分の優しさを相手に施すような気持ちで歩み寄り、癒やしていく。コロナ禍だからこそ、そんなふうに人と人が癒やし合うような温かな作品を作りたいと思ったんです。

-この作品の大事な要素が、オペラの「ラ・トラビアータ」をはじめ、劇中に流れる数々のクラシック音楽です。音楽は小説では表現できない映画ならではの要素ですが、音楽で意識した点を教えてください。

 原作小説の大きな魅力は、小説にもかかわらず、音楽的な要素がたくさんちりばめられ、物語の中でうまく生かされている点です。例えば「ラ・トラビアータ」やバッハの「アダージョ」という曲は、ヨンヒの人生とも重なっています。そういう意味で、この作品における音楽は、単なるBGMではなく、映画に込められたメッセージに重なると考えていました。だから、音楽をつけていく作業は、とても楽しかったです。

(C)2024 Yoon’s Color Inc., All Rights Reserved

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ケナ・ハリス共同監督&リンジー・コリンズプロデューサー「おもちゃたちがデバイスのことをどう思うのかという視点がとても面白い」『トイ・ストーリー5』【インタビュー】

映画2026年7月1日

 ボニーのもとで暮らすバズやジェシーたちの前に、最新型の電子タブレット「リリーパッド」がやってくる。多機能なデバイスに夢中になるボニーの姿を見たおもちゃたちは自分たちの存在意義に疑問を抱き始める。おもちゃと子どもの絆を描いてきたディズニー& … 続きを読む

山下リオ「それぞれの愛の形を、まざまざと見せつけられるような映画になっていると思います」『遺愛』【インタビュー】

映画2026年6月30日

 父の死を契機に母の介護を始めた女性の周囲で、次々に起こる異変。それは、母の抜け殻に入り込んだ“何か”による呪いなのか、それとも、介護に疲れ追い詰められた女性の心の闇が生んだ虚構なのか…。酒井善三が監督し、テレビ東京プロデューサーの大森時生 … 続きを読む

塩野瑛久「中島健人さんへのリスペクトがさらに増しました」ラブコメディで初共演『ラブ≠コメディ』【インタビュー】

映画2026年6月29日

 NHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)の一条天皇役が話題となり、今年もドラマ「嘘が嘘で嘘は嘘だ」「未来のムスコ」に出演し、『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』、『SAKAMOTO DAYS』、『マジカル・シークレット・ツアー』と公開作品が … 続きを読む

横山裕「人間ドラマが色濃く描かれていて、物語に一気に引き込まれる」 関水渚「横山さんが演じる磯貝さんとの掛け合いの面白さを楽しんで」 水ドラ★イレブン「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」【インタビュー】

ドラマ2026年6月29日

 横山裕がフジテレビ系連ドラ初主演を果たす、水ドラ★イレブン「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」が、7月1日から放送される。本作は、「good!アフタヌーン」(講談社)で連載中の人気漫画を実写化。人と群れない一匹オオカミの刑事・磯貝史郎と、 … 続きを読む

藤井流星「コメディーがやりたい」 西田征史と6年ぶりのタッグで挑むROLL((CAKE))TIME【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月27日

 藤井流星が主演を務める舞台、ROLL⦅CAKE⦆TIMEが7月6日から上演される。本作は、藤井が脚本・演出の西田征史と2020年のドラマ&舞台「正しいロックバンドの作り方」以来6年ぶりにタッグを組む、完全オリジナルのハートフルサスペンスコ … 続きを読む

page top