南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

2025年7月4日 / 12:00

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受け止めて生きる同級生・江永雅(馬場ふみか)との出会いをきっかけに、「不幸中毒」から脱却する姿を描く。

 陽彩を演じるのは、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)や「光る君へ」(24)をはじめ、多数の作品で活躍する期待の若手俳優・南沙良。監督を務めたのは、『溶ける』(16)が第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に日本人最年少で正式出品された新鋭・井樫彩。公開を前に、撮影の舞台裏や作品に込めた思いを語ってくれた。

南沙良(左)、井樫彩監督

-同級生の雅とバディのような関係を築き、成長していく陽彩の姿にリアルな存在感がありました。陽彩役に南さんが起用された経緯を教えてください。

井樫 南さんとは以前、『恋と知った日』(23)という短編作品でご一緒してとても魅力的だったので、いずれ長編でまたご一緒したいと思っていたんです。そうしたら、『恋と知った日』のプロデューサーだった佐藤慎太朗さんから、「この原作を南さんでどうですか?」とお話があって。南さんなら陽彩役にぴったりだと思い、お引き受けしました。

南 『恋と知った日』が終わったとき、井樫監督と「また一緒にやりたいですね」と話していたので、実現してうれしかったです。原作を読んでみたら、重い題材でありながら、陽彩や雅たちが一歩踏み出そうとする物語が魅力的だったので、そういう部分を自分なりに表現できたら…と。

-南さんは演じるに当たって、原作を参考にした部分も大きいのでしょうか。

南 先に原作を読んでいたおかげで、台本に書かれている陽彩の気持ちをスムーズに受け止めることができました。それに加えて、クランクイン前には監督が作った陽彩の年表もいただきましたよね。

井樫 南さんとご一緒するのは2度目ということもあり、今までいろいろな話をしてきた中で、役柄について直接的に語るというよりも、年表を渡したり、シーンごとに今はこういう状況だよね、だからこういう気持ちだよねといったように、補助線を引いてあげるというような形が合うのかなと。

南 それがとても役に立ちました。さらに監督は、アクティングコーチのレッスンも用意してくださって。

井樫 この作品の前にアクティングコーチのレッスンを見学する機会があり、それがすごくよかったんです。だから、「どうですか?」と提案してみたら、馬場さんと一緒に参加してくれて。役になじんでもらうため、脚本にない陽彩のシーンを作って演じてもらったりしましたよね。

南 普段はお仕事に追われがちなこともあり、座学を含めてお芝居を改めて学ぶ機会はなかなかないので、すごく新鮮でした。とても勉強になったので、実は今もレッスンを受けているんです。きっかけをくださった監督に感謝です。

(C)武田綾乃/講談社 (C)2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】9月の公開映画から

映画2026年10月8日

「バックルームズ」(9月4日公開)★★★ 出口のない迷宮が生む恐怖  “あるはずのない隙間”から、黄色い壁に囲まれ蛍光灯に照らされた迷宮のような空間へ迷い込んだ男(キウェテル・イジョフォー)が、出口を求めてさまよう。インターネット発の都市伝 … 続きを読む

伊原六花「七五三掛さんが一緒で心強い」七五三掛龍也「伊原さんはオールマイティーな方」痛快リベンジ・エンターテインメントで共演「小麦とバターと復讐と」【インタビュー】

ドラマ2026年10月7日

 10月7日(水)よる11時からカンテレ・フジテレビ系全国ネット「水ドラ★イレブン」枠で、新ドラマ「小麦とバターと復讐と」がスタートする。  夫と助手に裏切られ、命を落としたパン職人の野崎ミチルが、2年前にタイムリープし、過去をやり直しなが … 続きを読む

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

page top