磯村勇斗&堀田真由、ともにデビュー10年を迎え「挑戦の年になる」 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」【インタビュー】

2025年7月2日 / 08:00

 磯村勇斗主演、堀田真由、稲垣吾郎が出演するカンテレ・フジテレビ系“月10ドラマ”「僕達はまだその星の校則を知らない」が7月14日から放送スタートする。本作は、独特の感性を持つがゆえに何事にも臆病で不器用な主人公・白鳥健治(磯村勇斗)が、少子化による共学化で揺れる私立高校にスクールロイヤー(学校弁護士)として派遣されることになり、法律や校則では簡単に解決できない若者たちの青春に必死に向き合っていく学園ヒューマンドラマ。磯村と堀田に本作の魅力や二人の学生時代の思い出などを聞いた。

磯村勇斗(左)と堀田真由 (C)エンタメOVO

-本作のオファーを受けたときの心境を教えてください。

磯村 民放連続ドラマで初めて主演をやらせていただきうれしい反面、この作品を含めて今年は挑戦の年になるなと感じています。役者人生の中でも大きなターニングポイントとして、この作品を自分の中でしっかり咀嚼(そしゃく)して、愛して、最後まで無事に撮影を終えたいという気持ちです。

堀田 これまでも磯村さんとご一緒させていただいたことはありましたが、本格的にお芝居をさせていただくのは初めてです。どのような作品でも心の機微を丁寧に表現される磯村さんと一緒にこの作品に取り組めたら、間違いなく良い作品になるんだろうなと感じましたし、その輪の中に入らせていただけることがとてもうれしいです。私は、これまで生徒役を演じることが多かったのですが、今回は初めて教師役に挑戦させていただきます。私にとって教師役というのはとても大きな存在で、何度も演じられる役ではないと思っているので、ここぞというときにやりたいと思っていました。私も磯村さんと同じく、今年、デビューから10周年を迎えたので、この10年という節目に挑戦できることをとても光栄に思っています。

-最初に台本を読んだときにどんな感想を持ちましたか。

磯村 非常に癖になる本だなと思いました。特に自分が演じる健治という役は、1回読んだだけではつかめない、不思議な存在です。彼は人と違った感覚を持っていて、いろいろな過去がありながら、少しでも変えようと前に進んでいきます。そうした彼の姿を見て素直に応援したいと思いました。それから、僕もスクールロイヤー(学校弁護士)というお仕事をこの作品を通して初めて知ったので、もっとたくさんの方に認知してもらえたらと思います。この物語には、生徒たちの悩みや問題がいろいろと出てきますが、確かに改めて振り返ってみると、僕が学生の頃にもさまざまな問題がありました。校則のことで先生と喧嘩(けんか)になることもあった。なので、今回、登場する生徒たちの気持ちもよく分かります。健治はそうした問題を法を使って白黒つけていきます。もちろん、全てがすんなり進むわけではなく、ときに悩み、迷うこともあります。そんな健治の姿はとてもいとおしいですし、やりがいのある作品だと感じました。

堀田 本当に「癖になる」という言葉が近いのかなと思います。学園ものというと生徒にフォーカスが当たる作品が多い中、今回はしっかりと大人たちの姿も描かれているのも魅力の一つです。「先生も弁護士も、1人の人間として完璧な人はいない。でも、完全無欠ではない部分も肯定して愛していく」というメッセージを脚本から感じました。優しさと思いやりに溢れた脚本だと思います。健治さんは、幼少期から周りの人との感性の違いを指摘され続けてきましたが、私が演じる珠々は学生時代から平均点を取り続けてきた、普通の先生です。真逆ではありますが、健治さんを支え、支えられながら、健治さんにとって苦手だった学校が最終的にどんな色になるのかをそばで見させていただけたらと思います。

-お二人の高校時代の思い出や校則にまつわるエピソードを教えてください。

磯村 高校時代は友達とすごく楽しく過ごしたという思い出です。高校1年生からバスケットボール部に入っていましたが、高校2年生のときに地元の劇団に入って、芝居をやるのか、部活を続けるのかを顧問の先生と話し合ったことがありました。今、振り返ると、高校時代の3年間は、今の役者としての生活に関わる重要な決断をした3年間だったなと思います。そうした進路の悩みもありましたが、友達の支えもたくさんあり、良い思い出にあふれています。先生とはどちらかというと対立関係にありましたが(笑)、でも僕の進路を応援してくれていたと思います。

堀田 私も校則では先生と対立することはありました(笑)。どうしてもスカートの丈を短くしたくて、ウエストを折り曲げて履いていたのですが、ある日、丈を切ってしまったんです。そうしたら、そのスカートの長さだと修学旅行に連れていけないと先生に言われてしまったので、検査のときだけ仲の良い先輩にスカートを借りて服装チェックをしてもらいました。結局は、短いスカートで修学旅行に行ったので今考えると優しい先生だったなと思います。

-ところで、健治は耳たぶを触ることで“普通の人モード”に入って自分を切り替えます。お二人は切り替えをしたいと思うときに行うことはありますか。

堀田 私は朝のコーヒーでスイッチをオンにします。アイスコーヒーが好きなので、どっしりしたものよりは薄めで、氷が溶けたくらいのコーヒーを飲んでいます。

磯村 僕は、集中したいときのスイッチがあるかもしれません。そういうときは一人になりたいので、フラッと出歩いて、自分のスペースを探しにいきます。

-そのスペースというのは、例えば車の中とか?

磯村 車の中は閉鎖されているから嫌なんですよ。閉鎖されていないところがいいんです。例えば、撮影現場のセットの裏とか(笑)。そうしたところに入り込んで集中しています。

-先ほど挑戦の年という言葉がありましたが、お二人にとってそうした挑戦の先の未来にはどんな目標がありますか。

磯村 今回、主演を務めさせていただきますが、主演をやるともう主演しかやらないのではというイメージを抱かれることも多いと思います。実際にそうする方もいらっしゃると思うのですが、僕自身は主演だからということは関係なく、今後もいろいろな役を演じていきたいと思っています。イメージは固定したくないので。挑戦はするし、自分の中ではステップアップしていくけれども、ベースは変わらずにお芝居を楽しみたいと思います。

堀田 私も自分の心が動くものであれば、どんなものも素直に受け止めて挑戦していきたいです。昨年、自分と対話できる時間を持てたことで、仕事のために生きるのではなく、暮らしのために仕事があることにようやく気付けました。仕事に対する考え方やモチベーションは変わりませんが、暮らしの中で生まれる感情も大切にしたいと思っています。そうした感情は絶対にお芝居の世界でも生きてくるものだと思うので、仕事ばかりになりすぎず、プライベートも丁寧な暮らしをしていきたいです。

-最後に放送を楽しみにされている読者にメッセージをお願いします。

磯村 きっとこのドラマを見ると自分の星座を発見したくなるのではないかと思います。最近、夜に空を見上げると乙女座が見えるんですよ。夜空を見るということは顔を上げるということになるので、皆さんに少しでも前向きになっていただいて、明日を明るく生きてみようと思っていただけたらうれしいです。

堀田 どんどん新しいものが生まれ、SNSでの評価も気になる今の時代は、個性よりも人に合わせることを選んでしまう人もきっと多いのではないかと思います。私も自分の大事なものを見失いそうになる瞬間がありますが、この作品は自分の良いところだけでなく、苦手なところも含めて肯定してくれる物語です。皆さんが自分の個性を愛そうと思うきっかけになったらいいなと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」は、7月14日から毎週月曜22時にカンテレ・フジテレビ系で放送。

ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」 (C)カンテレ


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