「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

2024年11月15日 / 10:38

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5部門を受賞した同作の24年ぶりの続編となる『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が11月15日から全国公開される。本作で主人公となるルシアス(ポール・メスカル)の母ルッシラを前作に続いて演じたコニー・ニールセンに話を聞いた。

コニー・ニールセン (C)エンタメOVO

-24年ぶりの続編でしたが、最初にこの映画のオファーがあった時と出演が決まった時の気持ちは?

 正直なところ、初めは、果たして見たくなるような物語なのか、作品自体にしっかりと伝えるべきものがあるのかと半信半疑でした。でも脚本を読んだら、物語の核の一つとしてルッシラと息子との関係性をきちんと描いているところにとても満足しました。自分が想像していなかったようなプロットや展開に驚き、魅力的な物語だと感じました。

-今回は、主人公ルシアスの母親役でしたが、その前に『ワンダーウーマン』でもヒーローの母親を演じています。そういう役を演じるのはどんな感じなのでしょうか。

 私には5人の子どもがいますから母親を演じるのはごく自然なことです。自分の人生にとって母親であることが最大の喜びです。ですから、その奥深い部分を探求する役を私が演じるのはとても理にかなっているし、妥当なことだと思います。

-今回のルッシラ役は、前作から引き継いだものでしたが、演じる上で何か心掛けたことはありましたか。

 キャラクターの倫理観や、何を背負って生きているのかをしっかりと持ち込んで演じることを心掛けました。ルッシラには、ローマ帝国に共和制を取り戻す、あるいは前にできなかったことを最後までやり遂げるという夢があります。この20年間は彼女にとっては暗黒の時代でした。ただ、今の無政府状態はカオスではあるけれど、その中から新たな政治的な仕組みが生まれることを彼女は信じています。

 演じる前にイギリス作家のトム・ホランドがローマ帝国の共和制の終焉(しゅうえん)について書いた本を読みました。共和制においてローマ人は何に失敗したのかが詳細に書かれていました。それではっきりと分かったのが、ローマの共和制の問題点というのはわれわれが生きている今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多いということです。リドリー・スコット監督もそのことを強く意識していたと思います。今回ルッシラを演じるに当たって、そうしたことが自分の準備にもとても影響しました。彼女はローマ帝国の80年間の繁栄の後の20年間にわたる崩壊を全て見てきた女性だということです。それが私が演じるに当たって意識したことです。

 もう一つ言えば、彼女自身も20年前に母親として大きな決断をしていますが、それによっていろいろなことが起きてしまいます。なので、運命に自分を委ねるしかなかった。ローマ人は運命にもてあそばれながら、いろんなことが起きるのだということです。

-前作と本作とを比べてみてリドリー・スコット監督に変化はありましたか。

 全てがものすごく早いテンポで進んでいきました。テクノロジーの進化によって、この24年の間に彼が思い描いたビジョンを完璧に再現していました。24年前は、カメラにも限界があったので、彼は自分のイメージを形にすることにすごく苦労していましたし、セッティングにもすごく時間がかかっていました。いろんな人たちが「これが面白い」「これはどうだ」と監督に言うわけです。だからセットチェンジをするのが大変でした。ところが、前は2時間かかったところが今は20分でできるようになりました。けれども、監督はみんなにとってお父さんのような存在なので、みんなが「ねえお父さん、聞いてよ」みたいに相談に行くところは変わっていませんが(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

草なぎ剛「今、僕が、皆さんにお薦めしたい、こういうドラマを見ていただきたいと思うドラマです」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」

ドラマ2025年10月14日

 草なぎ剛主演の月10・新ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時/初回15分拡大)が13日から放送スタートとなった。本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザ … 続きを読む

川島如恵留「僕にとって一番の幸福は、メンバーといられること」 初の単独主演舞台に挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月13日

 Travis Japanの川島如恵留が主演する舞台「すべての幸運を手にした男」が11月14日から東京グローブ座で上演される。世界を代表する劇作家アーサー・ミラーの初期の名作として名高い本作は、主人公デイヴィッド・ビーヴスに思いもかけない幸 … 続きを読む

妻夫木聡、佐藤浩市「この物語は馬と人の継承を描いていると感じました」日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年10月12日

 TBSでは、10月12日(日)午後9時から、妻夫木聡が主演する日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」が放送スタートする。本作は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の … 続きを読む

中村ゆり「草なぎ剛さんは包容力があって“人の痛み”が分かる方」 ドラマ「終幕のロンド」【インタビュー】

ドラマ2025年10月10日

 草なぎ剛が主演する月10ドラマ「終幕のロンド —もう二度と、会えないあなたに—」(カンテレ・フジテレビ系)が、13日から放送がスタートする。本作は草なぎが演じるシングルファーザーで遺品整理人の鳥飼樹が、遺品整理会社の仲間と共に仕事に向き合 … 続きを読む

北山宏光、6年ぶり主演舞台に「僕が今、出せるものを全て注ぎ込む」 舞台「醉いどれ天使」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月10日

 名匠・黒澤明と三船敏郎が初めてタッグを組んだ伝説の映画『醉いどれ天使』の2025年舞台版が11月7日に開幕する。本作は、戦後の混沌(こんとん)とした時代に生きる人々の葛藤を生き生きと描いた物語。映画が公開された1948年に、映画版とほぼ同 … 続きを読む

Willfriends

page top