杉野遥亮「ようやく榊原康政のお墓にお参りに行くことができました」 充実感と共に完走した大河ドラマ初出演【「どうする家康」インタビュー】

2023年11月11日 / 13:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「どうする家康」。江戸幕府を開いた徳川家康(松本潤)の生涯を描いた物語は、いよいよクライマックスを迎えつつある。多数の家臣たちに支えられながら天下統一への道を歩んできた家康だが、その中でも文武両面に優れ、“徳川四天王”の一人に数えられたのが、“小平太”こと榊原康政だ。演じる杉野遥亮は、一足早くクランクアップ。それから間もなく、大河ドラマ初出演となった1年半に及ぶ撮影を振り返ってくれた。

「どうする家康」(C)NHK

-長期の撮影、お疲れ様でした。クランクアップして1週間ほど経った今のお気持ちは?

 ほっとした気持ちが大きいです。クランクアップ直後の2日間くらいは、作品の世界観に引きずられている感じでしたけど、今は落ち着いてきました。この1年半、他の作品をやりながらも、ずっと頭の片隅に小平太のことがあったので、それが少し軽くなった気がします。

-最初の頃と現在で、小平太と向き合う意識は変わりましたか。

 全然違いますね。最初は史実にとらわれ過ぎて、「こう見せなきゃ」と思い込んでいる部分が大きかったんです。といっても、どういう人物なのか輪郭も見えないし、終着点もわからない中、緊張や不安もあって意識がやや散漫になってしまって。でも、ある時期から、今の自分とリンクさせながら作っていくのが、今回の僕の小平太だな、と考えが変わってきたんです。同時に、成長させつつ、年齢による変化も表現しなければいけないので、その辺は自分なりに考えて。ただ、大事なのは、どう見せるかよりも、内面から何が出てくるかだな、と。最終的には、丁寧に気持ちを作ることに集中してお芝居を楽しめれば、というふうに考えが変わっていきました。

-撮影を終えた今は、満足できた感じでしょうか。

 なかなか思い通りにいかず、正直、悔しい瞬間もいっぱいありました。でも、そういう気持ちを、「もしかしたら小平太にもそういう瞬間があったかも」と、お芝居とリンクさせていくようにしたんです。その結果、自分のお芝居に100%満足できたわけではありませんが、最終的に楽しく終われたので、その点に関しては満足しています。

-充実した撮影期間だったようですね。

 実はつい最近、ようやく榊原康政のお墓に行くことができたんです。普通は皆さん、撮影に入る前に行くものかもしれませんが、僕は最初、自信がなくて不安でいっぱいだったので、気軽にあいさつに行けないな、と思っていて。でも、終わったとき、「いい仕事ができた」という充実感と共に、「ありがとうございます。お世話になりました」という気持ちが湧いてきたので、ようやくお参りに行くことができました。

-長期の撮影を共にした主君・家康役の松本潤さんの印象は?

 松本さんとのお芝居が楽しく、自然と康政に入っていける感覚がありました。正直、僕自身がうまく集中できず、役に入っていきづらいときもあったんです。そんなときでも、松本さんの姿を見ると、やりやすくなることがあって。そういう意味では、すごく助けていただきました。

-康政と家康の関係を表現する上で心掛けたことは?

 小平太の内面の描写は少なかったんですけど、殿に対しては徐々に忠義を尽くしていく人だと思っていたので、その関係の変化がきちんと見えたらいいな、と。最初は「殿」というより、友だちや少し年上の先輩、みたいな感覚だったんです。でも、小牧・長久手の戦いあたりから、やり取りにヒリヒリするような緊張感が出てきて、ちゃんと「殿」だと思えて。当時の人が背負っていたものと同じものを、松本さんも背負っているようで、すごくリアルに「殿」に見えてきました。

「どうする家康」(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top