【インタビュー】ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3-ホワイトチャペルの亡霊- 平野良&大湖せしる「一緒に心を震わせられたらうれしい」

2021年6月30日 / 18:00

 漫画『憂国のモリアーティ』を原作としたミュージカル『憂国のモリアーティ』の、第3弾公演となるミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3‐ホワイトチャペルの亡霊‐が、8月5日から上演される。本作は、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』を原案に、上流階級の人間たちに支配され、差別がまん延する19世紀末の「大英帝国」を舞台に、悪を取り除き、理想の国を作ろうとするジェームズ・モリアーティと宿敵シャーロック・ホームズとの戦いを中心に描く。ホームズを演じる平野良と、ジェームズ・ボンド役の大湖せしるに、役作りについてや公演の見どころを聞いた。

平野良(左)と大湖せしる (ヘアメーク:宮崎智子/スタイリスト:吉田ナオキ(平野のみ))

-大湖さんは、第2弾から本作に出演していますが、出演の話を聞いたときに、本作のことはご存知でしたか。

大湖 オファーを頂いたときは、ミュージカル『憂国のモリアーティ』(以下、『モリミュ』)を存じておりませんでしたので、そこから初演のDVDを見させていただきました。実力派の方ばかりの素晴らしい作品で、私も絶対に出たいと思いました。

-平野さんは、第1弾からホームズを演じています。ホームズを演じることについて、どんな気持ちを持っていますか。

平野 コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』は、世界各国の名優が演じている役柄なので、第1弾では、そういう方々の演技を参考にしながらも、『憂国のモリアーティ』でのシャーロックを追求していました。第2弾では、シャーロックの強いせりふも多く、アイリーンを守ると決めるなど、感情が表に出るシーンもあるので、コナン・ドイルの描くシャーロックよりも、より熱い男になっていたのではないかと思いますし、『憂国のモリアーティ』のシャーロックらしさが出ていたと思います。今回は、さらに独自のシャーロックになっていくのではないでしょうか。ただ、『憂国のモリアーティ』のシャーロック好きはもちろんですが、“シャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」シリーズの熱狂的なファン)”を納得させるシャーロックでありたいとは思っています。

-大湖さんは、前作ではアイリーン・アドラーを演じ、今回は彼女が名前を新たにし、男性として生まれ変わったジェームズ・ボンドを演じます。男装の女性という難しい役どころですが、演じるに当たってどんなことを考えていますか。

大湖 この役に限らずですが、2.5次元作品にはキャラクターのファンの方がいらっしゃるので「似ていない」とか「イメージと違う」という意見もあるかと思います。ですが、私自身は役として、作品として、何をお客さまに届けたいかという気持ち的な部分を一番に考えているので、ただキャラクターをなぞるだけでなく、思いを届けられたらと思います。

平野 本当にそうですね。『憂国のモリアーティ』の作品の中に生きればいいということなんだと思います。僕はベネディクト・カンバーバッチをリスペクトしていて、彼が(ドラマで)シャーロックを演じているのを見ていたので、やはり第1弾のときには意識してしまっていました。「カンバーバッチより平野だよね」って言われたいという思いがありましたし、カンバーバッチの歩き方や目線をまねしてみたりもしていました。

-そこから、だんだんと自分らしさが出てきたのですか。

平野 自分らしさは、自分からそうやろうというよりは、周りのキャストさんたちと絡むことによって出来上がってきたんだと思います。前作では、(大湖が演じた)アイリーン・アドラーという人物にシャーロックをかたどってもらったという印象があります。

-大湖さんは、前作でアイリーンを演じたときは、どのようなところを一番意識しましたか。

大湖 まず原作を読んで、インスピレーションを大事にしようと思っていました。ですが、アニメにもまだ登場していなかったので、動いているものを見ていない分、私の感性で作れる部分も大きかったと思います。平野くんも言っていたように、シャーロックとのお芝居の中で感じるものを取り入れて、カンパニーの空気感や世界観を大事にしたいと思いながら作っていきました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

 ベストセラー作家・森林麻美が、自身のブログに「私の死体を探してください。」と自殺をほのめかす投稿をして消息を絶つ。麻美の夫・三島正隆(伊藤淳史)や正隆と不倫関係にある麻美の担当編集者・池上沙織(恒松祐里)がその行方を探す中、次々にブログが … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

 東京の片隅で暮らし、美容脱毛サロンで働く21歳のカナ。同棲中の恋人ホンダ(寛一郎)との生活に退屈したカナは、映像クリエーターのハヤシと新生活を始める。だが、まもなく2人のペースはかみ合わなくなっていき、ストレスを募らせたカナは…。  9月 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『エイリアン:ロムルス』(9月6日公開)  人生の行き場を失った6人の若者たち(ケイリー・スピーニー、デビッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー)は、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムル … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

 「ミステリーの女王」と呼ばれる推理小説家アガサ・クリスティーが1944年に発表した長編小説を原作とした舞台、ノサカラボ「ゼロ時間へ」が10月3日から東京・三越劇場ほかで上演される。ミステリーを専門に舞台を制作しているノサカラボの代表であり … 続きを読む

Willfriends

page top