【インタビュー】「ミュージカル『刀剣乱舞』 にっかり青江 単騎出陣」荒木宏文が挑む“日本巡業”「道しるべになる作品になれば」

2021年4月23日 / 08:02

 「ミュージカル『刀剣乱舞』 にっかり青江 単騎出陣」が、4月27日に開幕する。本作は、荒木宏文が演じるにっかり青江が、2021年春と秋、22年春と秋の計4回、2年をかけて全国を巡演する公演。第1回目は、北海道・函館市民会館 大ホールからスタートし、5月30日の鹿児島・宝山ホールまで20公演が行われる。17年に上演された「三百年の子守唄」以来、約4年にわたってにっかり青江を演じ、今回、初の単騎出陣に挑む荒木に、公演への思いを聞いた。

にっかり青江(荒木宏文) ミュージカル『刀剣乱舞』~三百年の子守唄~(2019年公演)から

-今回の単騎出陣は、荒木さんから提案したそうですが、どういった経緯で単騎出陣をしたいと思ったのですか。

 (荒木が出演した)「三百年の子守唄」は、初演と2019年公演を通して120公演以上上演しましたが、2019年公演を終えた後、僕の中に「もっと突き詰めたい」という思いが生まれ、その思いを脚本の伊藤栄之進さんに吐露したのがきっかけだったと思います。

-突き詰めたいというのは、にっかり青江を演じることについてですか。

 にっかり青江としても、ミュージカル『刀剣乱舞』としてもです。その後、「歌合 乱舞狂乱 2019」を経て、よりその思いが強くなったことで、具体的に提案させていただきました。

-日本巡業という形を取ったのはどういう思いからだったのですか。公演の内容に適していたのがその形だったということでしょうか。

 内容はもちろんリンクすることになります。ただ、企画を提案した当時は、コロナ禍でもなかったですし、日本巡業というワードでもありませんでした。もっと漠然とした思いで、幾つか提案して検討していく中で、「日本巡業」「47都道府県を回る」という形がイメージしやすかったのかなと思います。

-内容とリンクしているということは、公演内容も「巡業」がキーワードになってくるのですか。

 そうですね、にっかり青江が旅に出ている姿を描いた作品になります。今回、提案させていただいたときに、僕自身がにっかり青江という役を極めたいという思いがありました。刀剣の歴史は人間が歩んでいる人生と比べたらとんでもなく長い。その長い歴史をモノとして見てきた刀剣男士を演じるわけだから、本来、人間の人生では圧倒的に足りないものばかりです。でも、足りないということが見えているからこそ、突き詰められるんじゃないかとも思いました。だったら、僕はその突き詰める作業をとことんやってみたい。じゃあ、どうするのが一番いいんだろうかと考えて出した企画でした。なので、必然的ににっかり青江が自身を見詰め直す姿を描いた作品になっていますし、同時に僕自身も日本全国を回って公演を行うことで、役者としても成長できるのではないかと思います。

-では、ミュージカル『刀剣乱舞』のにっかり青江は、荒木さんにとってどんな存在ですか。

 「期限のある僕のもの」です。にっかり青江に限らず、どの役でもそうだと思いますが、僕が演じている間だけは「僕のもの」で、今後、もし僕がにっかり青江を演じられないときがきたとすれば、僕のものではなくなる。だからこそ、演じられる間は大切にしたいと思っています。

-彼の魅力はどこにあると思いますか。

 何百年という歴史を持っていることです。僕は、むしろ、今はそこを掘り下げることしかできないと思っています。あくまでも原案のゲームで発表されている設定が全てで、それ以外で僕が突き詰めていいのはにっかり青江が刀剣として見てきた景色だけだと思っています。なので、僕が知ることができるのは、彼の持つ何百年もの歴史だけなんです。それ以外は、皆さんも知っていることしか正解にならないので、確定していない要素は、僕が勝手に語れることではないと思います。

-確定していない部分が多い役を演じるとなると、役作りはどのようにしているのですか。

 ミュージカル『刀剣乱舞』でのにっかり青江を演じる上では、脚本が全てなので、伊藤さんが脚本で書かれていることを演じています。ミュージカル『刀剣乱舞』の本丸で起きている出来事は、ミュージカル『刀剣乱舞』で描かれているあの世界でだけ成立するので、脚本に書かれていることが全てです。

-これまでの公演を通して、荒木さんがにっかり青江を演じる上では、どんなことを意識して演じていますか。

 僕は「刀剣男士であること」に特化して考えています。刀剣男士がどういう存在なのかは、人それぞれ捉え方が変わってくると思いますが、僕はミュージカル『刀剣乱舞』では、心を学んでいくストーリーにすごく魅力を感じました。心を知ることができなかった刀剣が、刀剣男士として顕現して、生きていく中で、心を学んでいく姿が描かれている部分が多いと思うので、そこはこだわって意識しています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

桐山照史「ジュリエットは時生でなければできない」 柄本時生、「見ていいよ」の言葉で「女子になれた」 「泣くロミオと怒るジュリエット2025」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年6月25日

 WEST.の桐山照史がロミオ、柄本時生がジュリエットを務める、Bunkamura Production 2025「泣くロミオと怒るジュリエット2025」が7月6日から上演される。本作は、映画『愛を乞うひと』の脚本などでも知られる劇作家・演 … 続きを読む

えなりかずき イメージを覆す“暴君”・松前道廣役は「稲垣吾郎さんが『十三人の刺客』で演じた極悪非道な殿様を参考に」【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月22日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。幕府の財政再建を目指す老中・田沼意次(渡辺謙)は、抜荷(ぬけに=密貿 … 続きを読む

ひょうろく「一瞬ドッキリを疑ったんですけど、渡辺謙さんがいらっしゃったので、やっぱり本当だったのかと」 【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月22日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。田沼意知(宮沢氷魚)は抜荷(ぬけに=密貿易)の証拠をつかもうとする。 … 続きを読む

【週末映画コラム】老匠による究極の独り善がり映画『メガロポリス』/痛みに対する想像力を働かせながら見る映画『Mr.ノボカイン』

映画2025年6月20日

『メガロポリス』(6月20日公開)  21世紀、アメリカの大都市ニューローマでは、富裕層と貧困層の格差が社会問題化していた。新都市メガロポリスの開発を進めようとする天才建築家カエサル・カティリナ(アダム・ドライバー)は、財政難の中で利権に固 … 続きを読む

松本利夫、EXILEパフォーマー卒業から10年 舞台は「山登りに似ている」 「よろしく候~BOTTOM OF HEART~」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年6月18日

 松本利夫が主演する舞台、LEGENDSTAGE feat.カムカムミニキーナ「よろしく候~BOTTOM OF HEART~」が6月26日から上演される。本作は、劇団「カムカムミニキーナ」の松村武が手掛ける幕末ヒューマンドラマで、17年ぶり … 続きを読む

Willfriends

page top