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今週は、どちらも3月19日から公開されるコメディー映画を2本紹介しよう。
『まともじゃないのは君も一緒』の主人公は、コミュニケーション能力ゼロで、恋愛については何も知らない予備校教師の大野(成田凌)と、恋愛の全てを知っているふりをしているが、実は恋愛経験ゼロという教え子の女子高生・香住(清原果耶)。
ひょんなことから香住が大野に、普通であることや恋愛の指南をすることになり、それを受けた大野は変化していくが、やがて香住が大野を好きになり、2人の立場が逆転していく。
監督・脚本は吉高由里子主演の『婚前特急』(11)でもコンビを組んだ前田弘二と高田亮、音楽は関口シンゴ。オリジナル作品である本作のテーマは「普通とは何か」だ。
基本的には、全く会話がかみ合わない、“普通ではない2人”による一種の恋愛劇なのだが、単純なラブコメとは一味違う、ちょっと不思議な感覚を持った映画になっている。
エキセントリックな面と純粋さを併せ持った年上の男性を成田が巧みに演じ、実は屈折を抱えて背伸びをしている年下の女性を清原がチャーミングに演じて、この風変りな設定に説得力を与えている。
成田は、放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」や、新作映画『くれなずめ』でも好演を見せているが、『カツベン!』(19)あたりから一皮むけたように見える。
一方、清原は21年度のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の主演が決まっている。そんな、今乗っている2人が繰り広げる、丁々発止のやり取りが楽しい。