【映画コラム】今こそコメディー映画が見たい『まともじゃないのは君も一緒』『トムとジェリー』

2021年3月18日 / 06:27

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 1940年にウィリアム・ハンナ&ジョセフ・バーベラによって創作された、おなじみの「トムとジェリー」が、誕生から80周年を迎えて実写映画化された。

 本作では、アニメーションで描かれたトムとジェリーと動物たちが俳優陣と共演する。実写とアニメの融合という意味ではとてもスムーズで、『ロジャー・ラビット』(88)の頃に比べると格段に進歩していると感じた。

 経歴を偽造し、ニューヨークの高級ホテルの新人スタッフとなったケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)。そのホテルでは、世界が注目するセレブカップルのウエディングパーティが行われようとしていたが、トムとジェリーのせいで台無しになってしまう。ケイラは、もう一度パーティを行うことを提案するが…。

 ネズミの出現でホテルが大騒ぎに…というのは、去年公開されたロバート・ゼメキス監督の『魔女がいっぱい』とも重なるし、あまり新味はない。俳優陣では、クロエのほか、敵役のマイケル・ペーニャと花婿役のコリン・ジョストがアニメを相手に頑張っていた。それにしても、いつものパターンだが、ジェリーが小ざかしくて、何だかトムが哀れに思えてくる。

 そんな、たわいない、何も考えずに笑って見られる能天気なハリウッド映画の典型だが、近頃、コロナ禍のせいでこの手の映画がほとんど公開されず、渋くて暗い、考えさせられるような映画ばかり見ているので、何だか貴重なものを見たような気になった。今こそ、こういう映画が必要なのかもしれないと感じた。(田中雄二)

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