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今週はユニークなコメディー映画を2本紹介する。まずは、原作・脚本は『超高速!参勤交代』(14)の土橋章宏、監督は『のぼうの城』(12)の犬童一心による“ニューウェーブ時代劇”の『引っ越し大名!』から。
姫路藩が幕府から日田への国替えを言い渡される。書庫番から引っ越し奉行に任命された片桐春之介(星野源)は、幼なじみで武芸の達人の鷹村源右衛門(高橋一生)、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭(高畑充希)の助けを借りながら、何とか引っ越しを成就させようとするが…。
オリジナルの「引っ越し唄」をバックに、ミュージカル風の趣向も凝らしながら、現代の転勤族やリストラにも通じる悲哀をコミカルに描く。
今でいえば引きこもりのような春之介が、段々ときりっとした侍になっていく変化を嫌味なく演じた星野、豪快な侍を演じた高橋の意外性の妙にも増して、彼らよりも年下の高畑がしたたかに演じた於蘭が印象に残る。また、殿さま(及川光博)の男色趣味をにおわすあたりも現代的だが、時代劇の生き残りを考えれば、こうした変化球映画があってもいいと感じた。