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数百年後の未来。スクラップの山の中から脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータ(ローサ・サラザール)は、サイバー医師のイド博士(クリストフ・ヴァルツ)によって新たな体を与えられ、目を覚ますが…。木城ゆきとの漫画「銃夢」を原作に、製作ジェームズ・キャメロンと監督ロバート・ロドリゲスがタッグを組んで映画化した『アリータ: バトル・エンジェル』が2月22日から公開される。公開を前に来日したロドリゲス監督が映画製作の舞台裏を語った。
キャメロンもタランティーノも、映画を通していろいろなことを達成した巨匠です。ですから、一緒に仕事ができたことはとても光栄なことだと思っています。彼らは、基本的に他の人のためには脚本を書きません。『アリータ~』も、最初はキャメロンが自分で撮ろうと思って脚本を書いたのですが、『アバター2』で忙しくなってしまったので、代わりに私がやったわけです。とてもラッキーでした。ですから、今回は自分では完成させることができなかったキャメロンの映画を、彼のスタイルを引き継いだ形で私が完成させようと思いました。
また、私と2人は古くからの友人同士であり、とても尊敬しています。私にとっては、いろいろなことを教えてくれるビッグブラザー(=兄貴)のような存在です。彼らと一緒の作業はとてもやりやすくて楽しいです。
これまで、3DやCGは使ったことがありましたが、パフォーマンスキャプチャー(三次元空間における人間の動作に加え、表情の変化もデジタルデータとしてコンピューターに取り込む手法)を使ったのは今回が初めてでした。『アバター2』のセットにキャメロンを訪ねたときに、やり方は見ましたが、自分で使ったことはありませんでした。今回使ってみて驚いたのは、パフォーマンスキャプチャーは演技の邪魔になるどころか、より増強させる効果があるということでした。コスチュームを着けたり、メーキャップをしたり、という気をそらす作業がない分、俳優がキャラクターに成り切れるところがあります。それが、見ていてとても面白く、新しいと思いました。
キャメロンが書いた脚本を初めて読んだとき、「とてもジェームズ・キャメロン的な世界だ」と思いました。つまり、『タイタニック』(97)や『アバター』(09)のような、あらゆる人々の共感を呼ぶ超大作だと。それに比べて、私がこれまで作ってきた映画は見る人を限定するようなところがあります。あらゆる人に向けて映画を作るというのは大変なことです。ですから、最初はキャメロンに「どうすればいいのか」といろいろ質問をしました。
彼が教えてくれたのは「SFやファンタジーの大作映画を作る場合は、リアリティーに基本を置くことが重要だ」ということでした。なので、今回は『シン・シティ~』などとは全く違うやり方、つまりブルーバックなしでちゃんとセットを作り、ロケも実際にその場所に行って、本物の俳優を使って撮りました。そうすることで、観客は、よりキャラクターを信じることができるし、ストーリーにも没入できます。それは私にとっては新しくエキサイティングな方法でした。キャメロンはとてもいい先生でした。
以前から、本作のような、PG-13指定の映画(13歳未満の鑑賞には、保護者の同意が必要)を作りたいと思っていました。『スパイ・キッズ』シリーズはとても小さい子どもが、『デスペラード』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は“大きな子ども”(笑)が対象でしたから。実はキャメロンも『ターミネーター』シリーズや『トゥルーライズ』(94)といったR指定(年齢制限)の映画を作ってきました。『アバター』あたりからPG-13になったのだと思います。年齢制限の基準を下げると、幅広い観客に見てもらえるようになります。今回は、PG-13でも強烈なアクションを入れることは可能なのだと実感できました。
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